婚約者の妹を虐めていたと虚偽の発言をされた私は……

マルローネ

文字の大きさ
2 / 37

2話

しおりを挟む
「そんな……こんなことが、あるなんて……」

「ミリー、落ち込んでしまうのは分かるが、なんとか元気になってくれ」

「お父様……」


 ボイド様との縁談が実質的に破談になった。このショックはきっと、お父様の方が大きいと思われる。私は伯爵令嬢、ボイド様は若くして侯爵になったお方だからだ。お父様としては私がボイド様と結婚することで、家系の地位が向上することを期待していたのだろうけれど……それが無くなってしまった。


「申し訳ありませんでした、お父様……私……」

「何を謝ることがあるか、ミリー。お前は何もしていないのだろう?」

「もちろんです。決してボイド様の妹である、シエナ様を虐めたりしていません!」


 お父様は私のことを信じてくれているようだった。それがとても励みになるわ。これだけ悲しいことが起きた後だけれど、信じてくれる人がいるというのは大きなことだ。

「お前がそう言うのなら私は信じるさ。それにお前が虐めなどという酷いことをするとはとても思えないからな」

「はい、ありがとうございます。お父様」

「しかし、昔はお前の兄さんのような存在だったボイド様が……まあ、妹のシエナ様の言うことを第一に信じるという意味では、今の私と同じだということか」

「あ、確かに……」


 お父様も証拠があるわけではないのに、私のことを信じてくれているものね。そういう意味では、ボイド様がシエナ様の言葉を信じているのと変わらないということか。少しだけ納得してしまった。

「でも、ボイド様の……というより、シエナ様の証言はあり得ないんです。同時に使用人の証言というのも。私は1度もシエナ様を虐めたことなんてないのですから」

「シエナ様の話はともかく、使用人は二人が話している姿を見て、虐めているように感じたと取るのが自然か……」

「そうかもしれませんね」


 それでもおかしいことではあるけれど。それに、シエナ様の発言は決してあり得ないことだ。


「シエナ様の発言に関しては存在自体があり得ないんです。私は虐めていないのですから、虐めがあった、という言葉があり得ません!」

 私は少し語気を強めてしまった。どう考えてもシエナ様が私を落としにかかっているようにしか見えないからだ。理由は……おそらく、ボイド様との仲を決裂させること。シエナ様は以前からボイド様のことを本気で慕っていたしね。気持ちは分からなくはないけれど、いくらなんでも酷過ぎる。

「あまり早急に考えるのは良いものではないが……シエナ様の自作自演と考えるのが普通か。それにボイド様は騙されているわけで」

「おそらく、そういった真相なのだと思います」


 お父様はふう、と大きく溜息を吐いていた。考えることが山ほど出て来たからだ。ただでさえ、フューリ―家との婚約破棄の手続きを進めたりしないといけないのに……。

「まあいい。一旦、この話はここまでとしようか。また後で話し合うとして……」

「はい、わかりました。お父様」

「それよりも、今度開催されるパーティーだが……ミリーは出席するか?」

「そうですね。気分転換になりますし……出席したいと考えています」

「そうか、わかった」


 パーティーか……今はそういう気分でないのは事実だけれど、前向きに行動していかなくちゃ駄目ね。お父様にも心配を掛けてしまうし。よし!
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?

ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十周年。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。 ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。 地位や名誉……権力でさえ。 否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。 望んだものは、ただ一つ。 ――あの人からの愛。 ただ、それだけだったというのに……。 「ラウラ! お前を廃妃とする!」 国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。 隣には妹のパウラ。 お腹には子どもが居ると言う。 何一つ持たず王城から追い出された私は…… 静かな海へと身を沈める。 唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは…… そしてパウラは…… 最期に笑うのは……? それとも……救いは誰の手にもないのか *************************** こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。 結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに 「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……

処理中です...