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7話

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「まさか、レナン様がこんな場所に来るなんて……」

「いや、パーティーの席ではあるからな。来たとしても不思議ではないのだが」


 それは確かに言える。でも、いきなり新しい女性を連れてくるのは意外だった。あの隣の女性は……浮気相手で間違いないだろう。

「浮気相手と来ていますね。まあ、噂の中では新しい女性として扱っているでしょうけど」


 レナンが浮気を認めるなんて考えられなかった。


「マニー、こういう場所も悪くないだろう?」

「そうですね、レナン様。本日は呼んでいただいてありがとうございました」

「はっはっは、これからちょくちょく呼ばせてもらおうか」

「ええ、おねがいしますね」


 会話内容は上手く聞き取れないけれど、楽しく会話をしている様子だった。それにしてもマニーって確か。

「マニー・ブラウン伯爵令嬢だな。新しい女性は伯爵令嬢だったか……う~む」


 マニー・ブラウンとは会ったことはないけれど、私も知っている相手だった。ブラウン家は伯爵の中でも有数の家系と言われているからね。レナンはさらに高い位の女性と一緒になると言っていたし、合点が行ったわ。


「ジプシー、どうしたいんだ?」

「わかりません……レナンのことは大嫌いですけれど、別に復讐をしたいと考えているわけではないですし」


 ただし、彼が幸せそうなことには不満があった。私に対してあんなことをしたのに、自分はのうのうと生きているなんて。本来ではあり得ないことだ。

「じゃあ、ここはひとつ大胆な行動に出るとしようか」

「えっ、アルマーク様?」


 アルマーク様は何を思ったのか……私の手を引いて会場の中心まで来たのだ。ちょうど、レナンの目の前と言えるかもしれない。そして……私の唇にキスをした。

「……!!」

 というのは振りであって、実際はキスの真似事だったけれど……周りにはキスをしたように見えたでしょうね……。
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