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7章 パーティー ②
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「き、緊張いたします……」
「心配することはないさ、リューナ。このパーティーは事前に予約なども必要はないようだし……それに私が付いているからな」
「はい……アルガス様……」
デルタの開催したパーティーの日はすぐにやってきた。私はその会場に入ることを躊躇っていたけれど、アルガス様は優しくフォローしてくれる。アルガス様は初恋の相手だけに、私の中での説得力が違うわ。
アルガス様の言葉で、私は正気を取り戻していた。
「デルタ・マックス伯爵令息が何を言おうとも、気にしないことだ」
「は、はい……肝に命じておきます……」
私は深呼吸をして、パーティー会場の入り口を見据える。既に何名かの貴族の人たちが入っているようだった。
「では、私達も向かおうとしようか」
「はい……アルガス様」
アルガス様が居れば心配することはない……私は自分にそう言い聞かせて、パーティー会場の扉を勢いよく開けた──。
-----------------------------------------------
「わあ、すごい……!」
「なるほど……腐っても、伯爵家主催のパーティーというわけか……」
パーティー会場自体はそこまで大きいものではなかったけれど、並べられている料理や執事、メイドの数は流石と言えるものだった。私……というより、子爵であるお父様でも、ここまでの設備を整えるのは難しいと思う。
流石はデルタ伯爵令息ってところかしら? まだパーティー自体は始まっていないけれど、集まっている貴族の人たちもある程度の面子だし。子爵家や伯爵家が多い印象かしら? 男爵家の人たちもいるようだけれど。
「このメイドや執事の数と、料理のレベル……おそらくは、マックス伯爵が介入しているだろうな」
「な、なるほど……」
アルガス様の推理は、確かに納得のいくものだった。デルタは所詮、伯爵令息でしかないんだし、彼の力だけで、ここまでの設備を賄えるとは思えない。そんな風に私が考えていると、当の本人が視界に入った。
「ラジナ……君の為に、今回のパーティーを主催したんだ。存分に楽しんでくれたまえよ」
「ええ、ありがとう、デルタ様」
女性と一緒に居るデルタは、非常に上機嫌になっているようだった。相手の女性は確か……。
「彼女はラジナ・クリークス伯爵令嬢だな。なるほど……彼女がデルタ・マックスの本命ということか」
「ラジナ・クリークス……」
私はアルガス様がおっしゃった相手の女性の名前を、無意識に反復していた。もしかしたら、私の婚約破棄の原因になった人物かもしれない……そんな感情が渦巻いていたから。
「今、会うのは避けた方がいいですかね」
「そうだな、少し彼らから離れようか」
私とアルガス様は、デルタたちとの遭遇を避けることにした。だってパーティーはまだ始まっていないのだから……変に警戒されても困るしね。
「心配することはないさ、リューナ。このパーティーは事前に予約なども必要はないようだし……それに私が付いているからな」
「はい……アルガス様……」
デルタの開催したパーティーの日はすぐにやってきた。私はその会場に入ることを躊躇っていたけれど、アルガス様は優しくフォローしてくれる。アルガス様は初恋の相手だけに、私の中での説得力が違うわ。
アルガス様の言葉で、私は正気を取り戻していた。
「デルタ・マックス伯爵令息が何を言おうとも、気にしないことだ」
「は、はい……肝に命じておきます……」
私は深呼吸をして、パーティー会場の入り口を見据える。既に何名かの貴族の人たちが入っているようだった。
「では、私達も向かおうとしようか」
「はい……アルガス様」
アルガス様が居れば心配することはない……私は自分にそう言い聞かせて、パーティー会場の扉を勢いよく開けた──。
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「わあ、すごい……!」
「なるほど……腐っても、伯爵家主催のパーティーというわけか……」
パーティー会場自体はそこまで大きいものではなかったけれど、並べられている料理や執事、メイドの数は流石と言えるものだった。私……というより、子爵であるお父様でも、ここまでの設備を整えるのは難しいと思う。
流石はデルタ伯爵令息ってところかしら? まだパーティー自体は始まっていないけれど、集まっている貴族の人たちもある程度の面子だし。子爵家や伯爵家が多い印象かしら? 男爵家の人たちもいるようだけれど。
「このメイドや執事の数と、料理のレベル……おそらくは、マックス伯爵が介入しているだろうな」
「な、なるほど……」
アルガス様の推理は、確かに納得のいくものだった。デルタは所詮、伯爵令息でしかないんだし、彼の力だけで、ここまでの設備を賄えるとは思えない。そんな風に私が考えていると、当の本人が視界に入った。
「ラジナ……君の為に、今回のパーティーを主催したんだ。存分に楽しんでくれたまえよ」
「ええ、ありがとう、デルタ様」
女性と一緒に居るデルタは、非常に上機嫌になっているようだった。相手の女性は確か……。
「彼女はラジナ・クリークス伯爵令嬢だな。なるほど……彼女がデルタ・マックスの本命ということか」
「ラジナ・クリークス……」
私はアルガス様がおっしゃった相手の女性の名前を、無意識に反復していた。もしかしたら、私の婚約破棄の原因になった人物かもしれない……そんな感情が渦巻いていたから。
「今、会うのは避けた方がいいですかね」
「そうだな、少し彼らから離れようか」
私とアルガス様は、デルタたちとの遭遇を避けることにした。だってパーティーはまだ始まっていないのだから……変に警戒されても困るしね。
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