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5章 お父様とお母様 ②
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「実は……デルタには婚約破棄をされてしまいまして……」
「な、なんですって……婚約破棄!?」
「なんと、そんなことが……!」
私はデルタのことを呼び捨てにし、お父様とお母様に報告をした。二人共予想外の出来事に言葉を失っているみたいね。
「その後、アルガス様にお会いしまして……ここまで送っていただいたんです」
「なるほどな、そういうことがあったのか……」
応接室に入り、私はお父様とお母様に強怒った出来事を話していた。涙腺を緩ませたお父様こと、ナイツ・クテシオンが私の身体を再び抱きしめてくれる。とても暖かくで嬉しいんだけれど、少しだけ暑苦しいかも……なんちゃって。
お母様は再び抱きしめてくることはなかったけれど、お父様と同じく、涙腺をとても緩ませていた。
「リューナ、大変だったわね……! まさか、デルタ様がそんな身勝手な婚約破棄を言ってくるなんて……!」
「はい、お母様……」
それについては、私も意外なことだった。政略結婚ではあったので、デルタのことを好いていたわけではないけれど、外見や最初の態度は悪くはなかったし、私も婚約仕立ての頃は上手くいくと思っていた。
「デルタの本性が分かり始めたのは……婚約後、しばらくしてからです」
「そうなの……?」
「はい……」
今にして思えば、あの出来事も普通ではなかったわね。デルタは何度か、私に身体を求めてきた。私は結婚前にそういう関係になるのは困ると断っていたんだけれど。それ自体はそこまで問題ではなかったの。
でも、ある時、彼はいかがわしい服装を着るように勧めてきた……これに関しては、おおよそ貴族らしからぬ行為よね。あの時から、もっと警戒をしておくべきだったかもしれない……いまにして思えば、悔やまれる事態だったわ。
「許せん……絶対にだ……!」
「お父様……?」
お父様はアルガス様とは別の意味合いで、恐ろしい顔つきになっていた。私の為に言ってくれているので嬉しくはあるんだけれど……。
「お父様? なにをなさるつもりなのですか?」
「決まっている、元老院に掛け合って、デルタ。マックスの悪事を公に公表するのだ」
「お、お待ちください……! デルタはそんなことをすれば、必ず復讐をしてきます!」
お父様がいかに頼りになるとは言っても、子爵という身分に変わりはない。伯爵令息であるデルタには勝てないという現実があった。
「ぬう、しかし……」
「このまま泣き寝入りをするわけには……」
「大丈夫です、お父様とお母様はどうか見守っていてください」
私はとにかく、興奮気味のお父様とお母様を宥めるのに必死だった。アルガス様に頼るわけではないけれど、デルタのことは、あの方に任せても大丈夫な気がする。なにせ、アルガス様は侯爵様なんだから!
私はとりあえず、お父様たちが無茶な行動に出ないことを監視しておかなくちゃ……!
「な、なんですって……婚約破棄!?」
「なんと、そんなことが……!」
私はデルタのことを呼び捨てにし、お父様とお母様に報告をした。二人共予想外の出来事に言葉を失っているみたいね。
「その後、アルガス様にお会いしまして……ここまで送っていただいたんです」
「なるほどな、そういうことがあったのか……」
応接室に入り、私はお父様とお母様に強怒った出来事を話していた。涙腺を緩ませたお父様こと、ナイツ・クテシオンが私の身体を再び抱きしめてくれる。とても暖かくで嬉しいんだけれど、少しだけ暑苦しいかも……なんちゃって。
お母様は再び抱きしめてくることはなかったけれど、お父様と同じく、涙腺をとても緩ませていた。
「リューナ、大変だったわね……! まさか、デルタ様がそんな身勝手な婚約破棄を言ってくるなんて……!」
「はい、お母様……」
それについては、私も意外なことだった。政略結婚ではあったので、デルタのことを好いていたわけではないけれど、外見や最初の態度は悪くはなかったし、私も婚約仕立ての頃は上手くいくと思っていた。
「デルタの本性が分かり始めたのは……婚約後、しばらくしてからです」
「そうなの……?」
「はい……」
今にして思えば、あの出来事も普通ではなかったわね。デルタは何度か、私に身体を求めてきた。私は結婚前にそういう関係になるのは困ると断っていたんだけれど。それ自体はそこまで問題ではなかったの。
でも、ある時、彼はいかがわしい服装を着るように勧めてきた……これに関しては、おおよそ貴族らしからぬ行為よね。あの時から、もっと警戒をしておくべきだったかもしれない……いまにして思えば、悔やまれる事態だったわ。
「許せん……絶対にだ……!」
「お父様……?」
お父様はアルガス様とは別の意味合いで、恐ろしい顔つきになっていた。私の為に言ってくれているので嬉しくはあるんだけれど……。
「お父様? なにをなさるつもりなのですか?」
「決まっている、元老院に掛け合って、デルタ。マックスの悪事を公に公表するのだ」
「お、お待ちください……! デルタはそんなことをすれば、必ず復讐をしてきます!」
お父様がいかに頼りになるとは言っても、子爵という身分に変わりはない。伯爵令息であるデルタには勝てないという現実があった。
「ぬう、しかし……」
「このまま泣き寝入りをするわけには……」
「大丈夫です、お父様とお母様はどうか見守っていてください」
私はとにかく、興奮気味のお父様とお母様を宥めるのに必死だった。アルガス様に頼るわけではないけれど、デルタのことは、あの方に任せても大丈夫な気がする。なにせ、アルガス様は侯爵様なんだから!
私はとりあえず、お父様たちが無茶な行動に出ないことを監視しておかなくちゃ……!
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