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4章 お父様とお母様 ①
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その日、私はデルタに婚約破棄をされ、その直後にアルガス侯爵様と再会し、なんだか激動の一日を迎えていたように感じられる。アルガス様はその後、私を貴族街の端にある屋敷まで送ってくれた。
そして今、私とアルガス様は玄関先でお別れの言葉を探している……。
「また、お会いできますよね?」
「ああ、もちろんだ。迷惑でなければ、近い内に訪問させていただいてもいいかな?」
「は、はい……お待ちしております」
私は少し照れながら、アルガス様を見ていた。アルガス様も照れているご様子だけれど……。
「婚約破棄をされたばかりなのに……私は尻軽にございますね……」
「バカを言うな、リューナ。現状の其方を尻軽に思う者など居るものか……そんな奴が居れば、私が成敗してくれるわ」
「ふふふ、アルガス様も冗談を言われるのですね」
「冗談などではないぞ? まあいいか……それではまたな、リューナ。今日はゆっくりと休むことだ」
「畏まりました、アルガス様。ありがとうございます」
私は深々と頭を下げて、去って行くアルガス様をいつまでも見送っていた。お父様やお母様に顔を合わせづらいと考えていたけれど、アルガス様のおかげで大分緩和された気がするわ。
私はそのまま、使用人が待機している屋敷に入っていく……。
-----------------------------------------------
「ただいま、戻りました……」
「リューナ!」
「きゃあ、お母様……!?」
屋敷に入ってすぐのところ、執事たちが見ているにも関わらず、私を強く抱きしめる人の姿が……。私の愛すべきお母様こと、ミリア・クテシオン。まだ32歳ととても若くていらっしゃるの。
「どうしたの、リューナ? そんな沈んだ顔で……! デルタ様ではなく、アルガス様と一緒に帰って来られたみたいだけど……!」
ああ、バッチリ見られていたわけね……いえ、別に見られて困ることをしていたわけではないけれど、やっぱり少しだけ照れ臭いわ……。
「それには色々ありまして、お母様……」
「なにがあったと言うの? お母さんに話してみて!」
私を強く抱きしめながら、お母様は必死の形相で、私の心配をしてくれる……。とても嬉しんだけれど、話しにくいので、一旦お母様からは離れることにした。そして、再び言葉を出そうとすると……
「リューナ! どうしたんだ一体!」
「お父様……」
今度は愛しのお父様の登場だ。とりあえず、私の発言はお父様との抱擁の後になってしまった……。
そして今、私とアルガス様は玄関先でお別れの言葉を探している……。
「また、お会いできますよね?」
「ああ、もちろんだ。迷惑でなければ、近い内に訪問させていただいてもいいかな?」
「は、はい……お待ちしております」
私は少し照れながら、アルガス様を見ていた。アルガス様も照れているご様子だけれど……。
「婚約破棄をされたばかりなのに……私は尻軽にございますね……」
「バカを言うな、リューナ。現状の其方を尻軽に思う者など居るものか……そんな奴が居れば、私が成敗してくれるわ」
「ふふふ、アルガス様も冗談を言われるのですね」
「冗談などではないぞ? まあいいか……それではまたな、リューナ。今日はゆっくりと休むことだ」
「畏まりました、アルガス様。ありがとうございます」
私は深々と頭を下げて、去って行くアルガス様をいつまでも見送っていた。お父様やお母様に顔を合わせづらいと考えていたけれど、アルガス様のおかげで大分緩和された気がするわ。
私はそのまま、使用人が待機している屋敷に入っていく……。
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「ただいま、戻りました……」
「リューナ!」
「きゃあ、お母様……!?」
屋敷に入ってすぐのところ、執事たちが見ているにも関わらず、私を強く抱きしめる人の姿が……。私の愛すべきお母様こと、ミリア・クテシオン。まだ32歳ととても若くていらっしゃるの。
「どうしたの、リューナ? そんな沈んだ顔で……! デルタ様ではなく、アルガス様と一緒に帰って来られたみたいだけど……!」
ああ、バッチリ見られていたわけね……いえ、別に見られて困ることをしていたわけではないけれど、やっぱり少しだけ照れ臭いわ……。
「それには色々ありまして、お母様……」
「なにがあったと言うの? お母さんに話してみて!」
私を強く抱きしめながら、お母様は必死の形相で、私の心配をしてくれる……。とても嬉しんだけれど、話しにくいので、一旦お母様からは離れることにした。そして、再び言葉を出そうとすると……
「リューナ! どうしたんだ一体!」
「お父様……」
今度は愛しのお父様の登場だ。とりあえず、私の発言はお父様との抱擁の後になってしまった……。
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