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2章 侯爵様との再会 ①
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「アルガス侯爵……お、お久しぶりでございます……」
私は突然現れた、非常に位の高いアルガス様に緊張しながら話している。男性にしては少し長めの紫の髪が特徴のお方で、耳がスッポリと隠れるくらいに整えられていた。それから……私の初恋の相手でもあったりする。流石に叶わない恋だと思っているから、想いを打ち明けたことはないけれど。
「そうだな……半年以上は公の場でも顔を合わせていないか?」
「そうですね……あの、アルガス様」
「どうしたんだ、リューナ?」
私は先ほどの婚約破棄の話を聞かれていないか、非常に心配していた。憧れのアルガス様に真実を知られたら、恥ずかしさで死にたくなるかもしれないから……。死ぬっていうのは流石に言い過ぎかもしれないけれど。
「先ほどの話……聞いていらっしゃったのですか?」
「先ほどの話というのは、リューナと……確か、相手は……」
「デルタ・マックス伯爵令息になります、アルガス様」
「そうだったな、デルタか……確か、彼と其方は……」
「……」
私はおもわず無言になってしまった。やはりアルガス侯爵様ともなれば、私が誰と婚約したのかはわかっていらっしゃるみたいね……。
「そうか……そうだったな。リューナは、デルタ伯爵令息殿と……」
「……アルガス様?」
「いや、なんでもない」
すぐに元に戻られたけれど、アルガス様は一瞬だけ寂しい表情になっていたような……私の気のせいかしら?
「ところで、リューナ……先ほどの話しに戻って申し訳ないが……」
「は、はい……」
やはりそちらの流れになってしまうのね……私は誤魔化し切れないという確信が芽生えてしまっていた。
「先ほどのデルタ殿との会話は……内容はわからないが、とても喜ばしいものとは思えなかったのだが」
「……」
「やはりか……今の其方の顔色を見ていれば、なんとなく察しは付くが……。よかったら、話してみないか? こうして、この場所で再会したのも何かの縁かもしれない」
縁……私はアルガス様のその一言に涙が出そうになっていた。初恋の人からそんな風に言われて、今の私が嬉しくないはすがない。私は意を決して婚約破棄の話を彼にすることにした……。
私は突然現れた、非常に位の高いアルガス様に緊張しながら話している。男性にしては少し長めの紫の髪が特徴のお方で、耳がスッポリと隠れるくらいに整えられていた。それから……私の初恋の相手でもあったりする。流石に叶わない恋だと思っているから、想いを打ち明けたことはないけれど。
「そうだな……半年以上は公の場でも顔を合わせていないか?」
「そうですね……あの、アルガス様」
「どうしたんだ、リューナ?」
私は先ほどの婚約破棄の話を聞かれていないか、非常に心配していた。憧れのアルガス様に真実を知られたら、恥ずかしさで死にたくなるかもしれないから……。死ぬっていうのは流石に言い過ぎかもしれないけれど。
「先ほどの話……聞いていらっしゃったのですか?」
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「……」
私はおもわず無言になってしまった。やはりアルガス侯爵様ともなれば、私が誰と婚約したのかはわかっていらっしゃるみたいね……。
「そうか……そうだったな。リューナは、デルタ伯爵令息殿と……」
「……アルガス様?」
「いや、なんでもない」
すぐに元に戻られたけれど、アルガス様は一瞬だけ寂しい表情になっていたような……私の気のせいかしら?
「ところで、リューナ……先ほどの話しに戻って申し訳ないが……」
「は、はい……」
やはりそちらの流れになってしまうのね……私は誤魔化し切れないという確信が芽生えてしまっていた。
「先ほどのデルタ殿との会話は……内容はわからないが、とても喜ばしいものとは思えなかったのだが」
「……」
「やはりか……今の其方の顔色を見ていれば、なんとなく察しは付くが……。よかったら、話してみないか? こうして、この場所で再会したのも何かの縁かもしれない」
縁……私はアルガス様のその一言に涙が出そうになっていた。初恋の人からそんな風に言われて、今の私が嬉しくないはすがない。私は意を決して婚約破棄の話を彼にすることにした……。
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