妹の婚約者自慢がウザいので、私の婚約者を紹介したいと思います~妹はただ私から大切な人を奪っただけ~

マルローネ

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14話 妹の動向

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「はあ、なんで姉さまとあんな約束してしまったんだろ……」

「ん? どうかしたのか、カリファ?」

「ああ、いえ……なんでもありません。ラニッツ様」


 はあ……ラニッツ様との関係を良好にすること。アメリア姉さまの婚約者である彼を私が奪った形なのに。姉さまは私を許してくれた。いえ、本当に許してくれたかは分からないけれど、表向きは許してくれているはず。

 それがとても悔しかった。読書の知識だけでなく、懐の広さでも負けた気がしてしまったから。


「なんでもないのは良いのだが……さっきから書斎に籠って大丈夫か?」

「本の知識を増やそうと思いまして」

「うむ……それは今後にも役立ちそうだな」

「ええ。ですのでラニッツ様は付き合わなくても良いのですよ?」

「いや、たまには私も読書をしようと思ってな」

「左様でございますか……」


 そう言いながらラニッツ様は私の隣の席に座った。適当な本を何冊か持ってきて。彼の行動も良く分からない。

「ラニッツ様って読書が趣味でしたっけ?」

「私も人並みには読んでいるぞ? カリファは前の王子殿下との会話でもそうだったが、やけに読書の知識に拘っているようだな」


 そういうわけではない。ただ、姉さまがゼラスト様と婚約していたから悔しかっただけ。咄嗟に本の知識量を披露しただけだ。会話の内容から察するに姉さまとゼラスト様の知識量には勝てなかったけど。

「別に知識量に拘っているわけではないです。あの場では披露しましたけど」

「ゼラスト様の言葉とも被ってしまうが、本の知識量なんて自慢にはならんだろう? 相手がどれだけ読んでいるかなど関係ない上に、多くの本を読んでいるからと言ってもな……」

「それは分かっていますよ。読書量が多いと将来の役に立って、姉さまみたいに同じ趣味の人と話が合う可能性が高いだけですよね」

「なんだ分かっているじゃないか。カリファは推理小説などは読まないのか?」

「読みますよ。シモン、アルガ、ストンレスシオ等の本は読んでいます」


 この3人は推理小説家として有名な人々だ。この書斎にも確かあったわよね。

「丁度良いじゃないか。私もその3人は好きだ。良かったらどういったトリックが好きだったか聞かせてくれないか?」

「いいですよ。ええと……」


 殺人トリックとは言っても、この世界には魔法という概念がある。本来はそんなトリックなんて成立しないのだけれど、この推理作家達は魔法の概念すら崩すトリックを考えるのが好きみたい。だからより興味を惹かれた。

 それにしても……妙なところでラニッツ様との共通点を見つけたわね。姉さまの言う通り、彼と別れていたら知らずに終わっていた。もう少し、ラニッツ様のことを見ても良いかもしれないわね。

 仕方ない……姉さまの言う通りにするのは癪だけれど、今回だけは従ってあげるか。
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