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12話 姉妹の会話

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「それじゃあ、姉さま……私は帰るから」

「ええ、あなたは帰った方が良いわね」

「な、なによ……? 私に対して復讐が出来たとか思っているんでしょう?」


 ゼラスト様、ラニッツ様と離れた場所で私とカリファは話している。彼女はここにきてもまだ、私に敵意を示していた。敵意と言うか悔しさを滲みだしているというか……。


「復讐? 妹に対して復讐をして何の意味があると言うの?」

「だって……私は姉さまからラニッツ様を奪ったんだし……恨まれるのは普通だと思っていたわ」

「あなたはそれでマウント……優越感に浸っていただけでしょう?」

「うっ……それは……」


 カリファは私に敵意を示してはいるけれど、先ほどまでとは違いかなり憔悴している様子でもあった。先ほどの応接室での会話であった読書の話。その時にゼラスト様に取り入ろうとして見事に失敗したからだ。それに関してはざまぁみろと思わなくもない。私の婚約者を取ろうとしていたわけだしね。

 でも、彼女は血の繋がった私の妹でもある。好きにはなれないけれど、必要以上に攻撃したり嫌ったりすることも出来なかった。それに……彼女が読書が趣味だというのは紛れもない事実ではある。その知識が足りなくて自慢したから失敗したけれど。読書好きに本当に悪い人は居ないって信じているから。

「カリファ、よく聞いて」

「なによ……アメリア姉さま」


 私の真剣な眼差しに彼女はからかうことはしなかった。安心して忠告できるわ。

「ゼラスト様の重複になってしまうけれど、本当にラニッツ様とは仲良くしなさいよ? 勝手に別れたりしたら許さないから」

「どういう意味よ……それ。私がラニッツ様を愛していないみたいじゃない」

「あなたのさっきの態度を見てたら心配になるのよ。リンバーク家の誇りになって生きて行って欲しいし」

「……」

「私がラニッツ様に婚約破棄をされ、あなたまでラニッツ様と別れたりしたら、世間でどのように言われるか分かるでしょう?」

「そんなこと……わかっているわよ」

「なら、良いのだけれど」


 カリファが本当に分かっているかは不明だけれど、私ももう一度忠告しておいた。彼女がこれから性根を入れ替えて生活していってくれることを願うしかないわね。

「姉さまは良いわよね……優しい王子殿下と婚約ができて」

「ゼラスト様との婚約も決して楽なことばかりではないわ。相応の責任が付き纏うのだし。あなたも責任のある立場になるんだから、しっかりと頑張ってよ」

「ふん、分かっているわよ……」


 カリファは口を尖らせているけれど、少しは反省してくれたかしら? 以前のような姉妹での会話が出来た気がするわ。あとは……彼女を信じるしかないわね。
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