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7話 驚き
しおりを挟む「ここに居るのか? そうかありがとう」
「いえ……とんでもないことでございます」
あ、使用人にゼラスト様は話を聞いているわね。このままではカリファとラニッツ様と接触することになってしまう。そんなことを考えている内に、応接室の扉が開かれた。
「ああ、アメリア。応接室に居たのか……と、済まない。来客中だったのだな」
「いえ、ゼラスト様。お気になさらずに……」
ゼラスト様は来客中の二人の顔を拝むと、少し眉間にしわを寄せていた。
「驚いた……まさか、この二人が来ているとはな」
「え、ええ……まあ、そうですね」
「余計なことを言ってしまったな。私は離れていた方が良いか?」
「あ、ええと……そうですね……」
どうしようか? 書斎で待って貰っていた方が良いかな。と、考えていると、いきなりカリファが叫び出した。
「ぜ、ゼラスト王子殿下……!? どうして、この屋敷にいらっしゃるんですか? し、信じられない!」
「確かに……なぜ、こんなところに……」
私と婚約したことを知らないカリファとラニッツ様……この驚きようで確実なものになりました。ていうか、そのくらいの情報は仕入れていて欲しかったけれど、まあ、こっちも伝えていなかったしね。
「ね、姉さま! どういうこと? なぜ、ゼラスト第一王子殿下とそんなに仲良さげなの!? おかしいわよ!」
「はあ……」
カリファはとても五月蠅かった……耳の鼓膜がどうにかなりそうな程に叫んでいる。
「少し落ち着きなさいよ、カリファ」
「落ち着いていられないわよ! どういうことか説明してよ!」
カリファの焦りの口調がなんだか面白かった。ラニッツ様は彼女ほど慌ててはいないけれど、焦っている様子が見て取れる。
「アメリア……正直に答えても問題ないのではないか? この二人が私達のことを知らなかったのは意外だったが」
「まあ、色々あったので話してなかったですからね……」
「それにしても、普通は知っていると思うが」
この二人は普通ではないということだろう。カリファに関しては浮かれ過ぎてて、情報収集を怠っていたんでしょうね。
「よく聞きなさい、カリファ。私はゼラスト第一王子殿下と婚約しているのよ」
「えっ……?」
「先程まで書斎で楽しくお話をしていたの。それを邪魔したのが、あなたというわけ」
「う、うそ……! 第一王子殿下と婚約~~~~!!?」
カリファを黙らせようとして真実を話したのだけれど、彼女はさらに大きな叫び声を上げた。本当に五月蠅いから黙って欲しいわ……。
「いえ……とんでもないことでございます」
あ、使用人にゼラスト様は話を聞いているわね。このままではカリファとラニッツ様と接触することになってしまう。そんなことを考えている内に、応接室の扉が開かれた。
「ああ、アメリア。応接室に居たのか……と、済まない。来客中だったのだな」
「いえ、ゼラスト様。お気になさらずに……」
ゼラスト様は来客中の二人の顔を拝むと、少し眉間にしわを寄せていた。
「驚いた……まさか、この二人が来ているとはな」
「え、ええ……まあ、そうですね」
「余計なことを言ってしまったな。私は離れていた方が良いか?」
「あ、ええと……そうですね……」
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「ぜ、ゼラスト王子殿下……!? どうして、この屋敷にいらっしゃるんですか? し、信じられない!」
「確かに……なぜ、こんなところに……」
私と婚約したことを知らないカリファとラニッツ様……この驚きようで確実なものになりました。ていうか、そのくらいの情報は仕入れていて欲しかったけれど、まあ、こっちも伝えていなかったしね。
「ね、姉さま! どういうこと? なぜ、ゼラスト第一王子殿下とそんなに仲良さげなの!? おかしいわよ!」
「はあ……」
カリファはとても五月蠅かった……耳の鼓膜がどうにかなりそうな程に叫んでいる。
「少し落ち着きなさいよ、カリファ」
「落ち着いていられないわよ! どういうことか説明してよ!」
カリファの焦りの口調がなんだか面白かった。ラニッツ様は彼女ほど慌ててはいないけれど、焦っている様子が見て取れる。
「アメリア……正直に答えても問題ないのではないか? この二人が私達のことを知らなかったのは意外だったが」
「まあ、色々あったので話してなかったですからね……」
「それにしても、普通は知っていると思うが」
この二人は普通ではないということだろう。カリファに関しては浮かれ過ぎてて、情報収集を怠っていたんでしょうね。
「よく聞きなさい、カリファ。私はゼラスト第一王子殿下と婚約しているのよ」
「えっ……?」
「先程まで書斎で楽しくお話をしていたの。それを邪魔したのが、あなたというわけ」
「う、うそ……! 第一王子殿下と婚約~~~~!!?」
カリファを黙らせようとして真実を話したのだけれど、彼女はさらに大きな叫び声を上げた。本当に五月蠅いから黙って欲しいわ……。
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