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2話 妹の喜び
しおりを挟むカリファ・リンバーク視点……。
「はあ~~~私は幸せですわ、ラニッツ様!」
「私も幸せだよ、カリファ。お前のように若く素敵な妻を迎え入れられるのだからな。何不自由なく生活させてやるぞ、わはははは」
「ふふっ、ありがとうございます! とても嬉しいですわ!」
何不自由ない生活か……今までのリンバーク侯爵でも生活に困ったことなんてなかったわ。姉さまは節約した生活を行っていたけれど、それに反するように私は散財した生活を行っていたから。リンバーク家は領地内での大規模な事業も成功していたし、お金に困ることは一切なかった。
ではなぜ私はラニッツ様を奪ったのか……しかも、姉さまやお父様達と仲が悪くなるのを承知の上で。それはポドールイ公爵家の方がさらにお金に余裕があったからだ。国境線の1つを任せられている家だし、最近では金鉱山、銀鉱山の発掘が上手く行ってるんだとか!!
だから私は持ち前の美貌を活かしラニッツ様に近づいた。結果は想像通りだったわ。姉さまも18歳と若いけれど、15歳の私の身体の方がラニッツ様にとっては重要だったみたいで……ふふふ、そのまま彼の心を掌握することは難しくはなかった。
「ラニッツ様、私、自分用の別荘が欲しいですわ。景色の良いアングロース山地の所に建ててくださいませんか?」
「ほう、別荘地か……まあ、金鉱山での稼ぎも相当量になっているからな。それくらいならば構わないぞ」
「ありがとうございます、ラニッツ様!」
ほら……別荘地すらも簡単に手に入れることが出来る。今の私に手に入れられない物は、おそらくないんじゃないかしら? それにこう見えても私は読書が趣味なのよ、リンバーク家でもたくさんの本を読んだわ。姉さまなんか比べ物にならない程に博識ね、私は。
ファーブセン王国の成り立ちは元より、周辺国家の情勢、国民の流行りにも敏感だわ。そうそう、冒険者とか魔法使いといった野蛮な連中についても詳しいわよ? ふふ、完璧ね……ああ、幸せだわ。
「カリファ……嬉しそうだな。そんなに私と一緒に居るのが楽しいか?」
「もちろんですよ、ラニッツ様! 私はラニッツ様と一緒になれて、とても幸せです!」
「ふふふ、可愛い奴め」
考え事をしている時に話しかけて欲しくないのよね……まったく。ラニッツ様は29歳だ……この国の基準に照らし合わせれば、婚期からは少し外れているだろう。
まあ、色々あったらしいけど私には関係ないわね。ふふふ、それよりも楽しいことを考えなくっちゃ! 姉さまは今頃、シーツを噛んで悔しがっているかしら? まあ、そうでないと面白くないけどね!
見ていなさいよ……私は貴族の中で最高の幸せを手に入れてみせるんだから。ラニッツ様を利用してね!
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