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6話 二人の殿方 その2

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「ようこそいらっしゃいました、このような事が現実に起きようとは……我が家系始まって以来のことかもしれませぬな」


 第四王子殿下のヨシュア・オメガと侯爵令息のマイケル・カウスマン様。この二人が応接室のソファに座っているのだから。通常の子爵家では考えにくい事態と言えるだろうか。


「ええと……何から話せばよろしいでしょうか?」

「リオナは話す必要はないよ。大体のことはアルバ様から聞いているからね」

「僭越ながら、私もアルバ殿から聞いております」


 お父さんは既に二人と深いところまで話しているようだった。私が理不尽に追放されたのはわかっているのだろう。どうして二人同時に来ることになったのかはわからないけれど。

「それにしてもヨシュア」

「どうかしたかい? リオナ」

「どうしてマイケル様と一緒に来ることになったの? 偶然……ということよね?」

「ああ、そのことだが……」


 ヨシュアはマイケル様の方に視線を合わせているようだった。マイケル様もヨシュアを見ている。


「私がアルバ様から話を聞いている時に、マイケル殿が現れたんだ。ちょうど、パーティーでの席だったのだが」

「あの時は申し訳ありませんでした。リオナ嬢が婚約破棄をされたという噂が流れていましたので。お父様であるアルバ様を見かけたので慌てて話を聞きに行ったのです」

「いや、とくに気にする必要はないが。そういうことで、私とマイケル殿がリオナの屋敷に来ることになったんだ」

「そうだったの……マイケル様もありがとうございました。私なんかの為に……」

「いえいえ、とんでもないことでございます」


 偶然、マイケル様がヨシュアとお父さんの話を聞いていたのが原因だったのね。だから、日付を指定して同時に来ることになったわけか。二人とも暇ではないはずなのに……ありがたいことだわ。


「それにしても、セルンのことだが……」

「ええ、セルン殿のことですね」


 話の流れが変わったように感じた。私の元婚約者についての話になっている。


「リオナに対する行為……決して許せるものではないな」

「はい、許せるものではありませんね」

「別れを切り出したばかりか、慰謝料すら支払わないというではないか」

「許せませんね……慰謝料すら払わないというのは」


 二人は意気投合するかのように交互に話していた。私は口を挟む暇がないというか……そのまま彼らを見ている。


「アルバ様の話では確か、セルンは身体が目的だったと聞くが? それは事実なのか?」

「はい……じゃなくてええ、その通りよ。セルンはそう言っていたわ」

「やはりセルン殿は許せませんね。ヨシュア王子、なにか罰を与える必要がありませんか」

「確かに……このまま勝ち逃げをさせるわけにはいかない」

「え、えええ……?」


 話は予想していない方向に舵を切っているようだった。セルンに罰を与える……? それは予想外だわ。
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