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3話
しおりを挟む「ユノア! 久しぶりだね! こうして会えて、とても嬉しいよ!」
「マイケル……久しぶりね。私も会えて嬉しいわ」
父さんから言われた場所は、貴族街の中央に位置する噴水公園だった。そこに、幼馴染であるマイケル・スミス侯爵令息はいたのだ。私は子爵令嬢であるため、本来なら普通に話すことは許されない相手。でもそこは、幼馴染であるという事実が緩和してくれている。マイケルも私が敬語を使うことは考えていないだろうからね。変に気を遣うのもおかしなことだと思うし……。
「アイクさんからは君の現状を聞いていたけれど……かなり大変だったみたいだね?」
「ええ、まあ……婚約者のガイザ様に婚約破棄をされてしまったからね。しかも、身勝手な理由で……」
マイケルに言うのは恥ずかしいことだったけれど、事前に知られているなら仕方のないことだった。おそらく、父さんや兄さんも良かれと思ってマイケルに伝えたのだろうし。
「ガイザ・オリバンダー伯爵と婚約したのは知っていたけれど……ユノアをこんな目に遭わせるなんて、許せないな……!」
「マイケル……ありがとう。そう言ってもらえるだけでも嬉しいわ」
「本来なら、侯爵家の力を使いたいところではあるが……俺は息子でしかないし、そこまで強力な権力は持っていないからね」
「確かに……そうかもしれないわね」
マイケルは侯爵令息であるので、ガイザ様よりも家の地位は高いと言える。でも、まだ令息でしかないのだ。伯爵の称号を持つガイザ様に一泡ふかせるのは難しいと言えた。場合によっては越権行為と訴えられるかもしれないしね。ガイザ様なら用意にしそうだから怖いわ……。
「まあ、ユノアには元気になってもらいたいんだ。これはアイクさんからも言われていることだしね!」
「ありがたいことだけれど……別に気を遣って貰わなくても大丈夫よ? 悲しいことだけれど、時間がそれを薄めてくれると思うわ」
「なるほど……でも、俺はユノアを元気付けたいんだ。今度のパーティーに一緒に行かないか?」
「今度のパーティー?」
「ああ、テネシア河川が開通したことを祝うパーティーさ。色々な貴族が参加するし、丁度いいんじゃないかな?」
「テネシア河川開通のパーティー……」
私は婚約破棄をされた直後の身だけれど、河川開通を祝うパーティーならば出席しても大丈夫かもしれない。変に噂に巻き込まれないだろうし。私はマイケルに対して頷いた。
「わかったわ、マイケル。参加させてもらってもいいかしら」
「ああ、もちろんだよ、ユノア!」
久しぶりの気心の知れた幼馴染とのパーティー……なんだか照れ臭い面もあるけれど、楽しめるかもしれないわね。
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