6 / 9
6話 理事長 その1
しおりを挟む
私達は学院に戻ってマリアに話を聞くことにした。
「さて、どうしようかしら。マリアって確か隣の隣のクラスでしょ?」
「そのようだね。いきなり訪問してもいいんだが……」
レヴィンと話していると周りからの視線が痛かった。先日の婚約破棄の一件で私は有名人になってしまったからだ。レヴィンとこうして話しているだけでも噂の対象になってしまう。
「あの子でしょ、生徒会長の婚約者って?」
「そうだけど、やらかしてしまったわね。大変よこれから」
「いきなり婚約破棄されるなんて思わなかったわ」
別のクラスの人達も来ているみたいだった。私の顔を確認して楽しんでいるのだろうか。オルスタは本当に大変なことをしてくれたわけだ。学院内で婚約破棄だなんて前代未聞の出来事だろうから。私は悪い意味で有名人になってしまったわけで……はあ、もう最悪。レヴィンが近くに居てくれなかったら耐えられなかったかもしれないわ。
「今この状況でマリアに接近するのは厳しいかもしれないわね」
「この騒動の証人だからなマリアは。俺達が近付いたらまた変な噂が流れるぞ」
「確かにそうなのよね……」
このまま無策で近づくのは止めた方がいいかもしれない。クラスに入って彼女を呼び出すだけでもハードルが高いのだから。どうやってマリアと接触すればいいんだろうか……なにかいいアイデアはないかしら? アイデア、アイデア……。
「理事長に話を通してもらって院内放送で呼び出すというのはどうかな?」
「レヴィン、冴えているわね。それなら私達が直接呼び出しているわけじゃないから、なんとかなるかもしれないわ」
「そういうことさ」
レヴィンの発想は頼りになるものだった。ここの理事長はガーラ・マスタング伯爵が兼任している。マスタング伯爵に会えば協力はしてもらえるだろうか。
「理事長って今日は来ているわよね?」
「朝、見かけたから来ていると思うぞ」
「よし、善は急げというものね。早速、休み時間に会いに行ってみましょう」
「そうだな。上手く行くといいけど」
光明が見えて来たかもしれないわ。マスタング伯爵を味方につければ心強いし。校内放送でマリアを呼び出しましょう。
「さて、どうしようかしら。マリアって確か隣の隣のクラスでしょ?」
「そのようだね。いきなり訪問してもいいんだが……」
レヴィンと話していると周りからの視線が痛かった。先日の婚約破棄の一件で私は有名人になってしまったからだ。レヴィンとこうして話しているだけでも噂の対象になってしまう。
「あの子でしょ、生徒会長の婚約者って?」
「そうだけど、やらかしてしまったわね。大変よこれから」
「いきなり婚約破棄されるなんて思わなかったわ」
別のクラスの人達も来ているみたいだった。私の顔を確認して楽しんでいるのだろうか。オルスタは本当に大変なことをしてくれたわけだ。学院内で婚約破棄だなんて前代未聞の出来事だろうから。私は悪い意味で有名人になってしまったわけで……はあ、もう最悪。レヴィンが近くに居てくれなかったら耐えられなかったかもしれないわ。
「今この状況でマリアに接近するのは厳しいかもしれないわね」
「この騒動の証人だからなマリアは。俺達が近付いたらまた変な噂が流れるぞ」
「確かにそうなのよね……」
このまま無策で近づくのは止めた方がいいかもしれない。クラスに入って彼女を呼び出すだけでもハードルが高いのだから。どうやってマリアと接触すればいいんだろうか……なにかいいアイデアはないかしら? アイデア、アイデア……。
「理事長に話を通してもらって院内放送で呼び出すというのはどうかな?」
「レヴィン、冴えているわね。それなら私達が直接呼び出しているわけじゃないから、なんとかなるかもしれないわ」
「そういうことさ」
レヴィンの発想は頼りになるものだった。ここの理事長はガーラ・マスタング伯爵が兼任している。マスタング伯爵に会えば協力はしてもらえるだろうか。
「理事長って今日は来ているわよね?」
「朝、見かけたから来ていると思うぞ」
「よし、善は急げというものね。早速、休み時間に会いに行ってみましょう」
「そうだな。上手く行くといいけど」
光明が見えて来たかもしれないわ。マスタング伯爵を味方につければ心強いし。校内放送でマリアを呼び出しましょう。
0
お気に入りに追加
280
あなたにおすすめの小説

金の亡者は出て行けって、良いですけど私の物は全部持っていきますよ?え?国の財産がなくなる?それ元々私の物なんですが。
銀杏鹿
恋愛
「出て行けスミス!お前のような金のことにしか興味のない女はもううんざりだ!」
私、エヴァ・スミスはある日突然婚約者のモーケンにそう言い渡された。
「貴女のような金の亡者はこの国の恥です!」
とかいう清廉な聖女サマが新しいお相手なら、まあ仕方ないので出ていくことにしました。
なので、私の財産を全て持っていこうと思うのです。
え?どのくらいあるかって?
──この国の全てです。この国の破綻した財政は全て私の個人資産で賄っていたので、彼らの着てる服、王宮のものも、教会のものも、所有権は私にあります。貸していただけです。
とまあ、資産を持ってさっさと国を出て海を渡ると、なんと結婚相手を探している五人の王子から求婚されてしまいました。
しきたりで、いち早く相応しい花嫁を捕まえたものが皇帝になるそうで。それで、私に。
将来のリスクと今後のキャリアを考えても、帝国の王宮は魅力的……なのですが。
どうやら五人のお相手は女性を殆ど相手したことないらしく……一体どう出てくるのか、全く予想がつきません。
私自身経験豊富というわけでもないのですが、まあ、お手並み拝見といきましょうか?
あ、なんか元いた王国は大変なことなってるらしいです、頑張って下さい。
◆◆◆◆◆◆◆◆
需要が有れば続きます。

【完結保証】婚約破棄されましたが、私は勘違いをしていたようです。
りーふぃあ
恋愛
「婚約破棄だ、リオナ・ファルゼンベルク。お前に王妃の座はふさわしくない」
婚約者であるレンバート殿下に婚約破棄された、公爵令嬢のリオナ・ファルゼンベルク。殿下のかたわらには成り上がり男爵令嬢のマリアナがはべっていた。信じられない。今までの私たちの関係はなんだったんですか?
呆然とする私に、隣国からの留学生であるロドリオットが声をかけてくる。
「よければ僕の国で過ごさないか?」
そんな言葉にリオナは頷き、新生活のために国境へと向かう。
一方、レンバート殿下の様子がなにやらおかしいようで……?
★ ★ ★
※ご都合主義注意です!
※史実とは関係ございません。まったりお楽しみくださいませ!

夫の母親に会いたくない私と子供。夫は母親を大切にして何が悪いと反論する。
window
恋愛
エマ夫人はため息をつき目を閉じて思い詰めた表情をしていた。誰もが羨む魅力的な男性の幼馴染アイザックと付き合い恋愛結婚したがとんでもない落とし穴が待っていたのです。
原因となっているのは夫のアイザックとその母親のマリアンヌ。何かと理由をつけて母親に会いに行きたがる夫にほとほと困り果てている。
夫の母親が人間的に思いやりがあり優しい性格なら問題ないのだが正反対で無神経で非常識な性格で聞くに堪えない暴言を平気で浴びせてくるのです。
それはエマだけでなく子供達も標的でした。ただマリアンヌは自分の息子アイザックとエマの長男レオだけは何をしてもいいほどの異常な溺愛ぶりで可愛がって、逆にエマ夫人と長女ミアと次女ルナには雑な対応をとって限りなく冷酷な視線を向けてくる。

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

【完結】白い結婚をした悪役令嬢は田舎暮らしと陰謀を満喫する
ツカノ
恋愛
「こんな形での君との婚姻は望んでなかった」と、私は初夜の夜に旦那様になる方に告げられた。
卒業パーティーで婚約者の最愛を虐げた悪役令嬢として予定通り断罪された挙げ句に、その罰としてなぜか元婚約者と目と髪の色以外はそっくりな男と『白い結婚』をさせられてしまった私は思う。
それにしても、旦那様。あなたはいったいどこの誰ですか?
陰謀と事件混みのご都合主義なふんわり設定です。

サレ妻王太子妃は実家に帰らせていただきます!~あなたの国、滅びますけどね???
越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
小国の王女だったヘレナは、大陸屈指の強国「大セルグト王国」の王太子妃となった。
ところが夫である王太子はふしだらなダメ男。怜悧なヘレナを「お高くとまった女」と蔑み、ヘレナとは白い結婚を貫きながらも他の女を侍らせている。
ある日夫の執務室を訪ねたヘレナは、夫が仕事もせずに愛妾と睦び合っている【現場】を目撃してしまう。
「殿下。本日の政務が滞っておいでです」
どこまでも淡々と振る舞うヘレナに、罵詈雑言を浴びせる王太子と愛妾。
――あら、そうですか。
――そこまで言うなら、実家に帰らせていただきますね?
あなたの国、滅びますけどね???
祖国に出戻って、私は幸せになります。

幼馴染は不幸の始まり
mios
恋愛
「アリスの体調が悪くなって、申し訳ないがそちらに行けなくなった。」
何度目のキャンセルだろうか。
クラリッサの婚約者、イーサンは幼馴染アリスを大切にしている。婚約者のクラリッサよりもずっと。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる