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5話 大変な事態 その3
しおりを挟む「とにかく今はこの事態をどうするのか……それを考えなければならないか」
「そうよ、お父さん。オルスタとの婚約のことを嘆いてももう遅いわ。それよりも婚約破棄の件をどうにかしないと」
「確かにそうだな」
過ぎてしまったことを悔やんでも仕方ない。それよりも今後のことを考える方が建設的と言えた。
「オルスタ・ガーランドはメアリとの婚約破棄に当たり、慰謝料を支払わないと言っていました。これは当然、許されないことです」
「それから共同事業の利益も没収とか意味の分からないことを言っていたわ」
「なんとそこまで……まったくとんでもない男だな、オルスタは……」
私とレヴィンはともかく、お父さんもオルスタのことを呼び捨てにしていた。それだけ腹立たしいということなんだと思うけど。
「慰謝料の支払いや共同事業の利益没収などは正当な理由がなくてはあり得ないことだ。婚約破棄の理由もメアリが馬鹿にしていたというものだったんだろう?」
「そうなのよ、お父さん。それを周りに吹聴したからってだけで……しかもその証人がマリアって言う子で、おそらくはオルスタと仲が良い子なのよ」
幼馴染か何かかもしれない。正確には私とオルスタも幼馴染だけれど、特に仲良く育ったわけではないから交友関係などはわからなかった。
「マリア……か、ふむ」
「一度、マリアに会って話を聞いてみるのはいいかもしれないぞ、メアリ」
「なるほどね、レヴィン。もしかしたら真実を話してくれるかも。そうなれば婚約破棄の件は不当なものだって証明できるわ。でも、今さらオルスタと婚約関係に戻りたいとは思わないけれどね」
「それはそうだろうな」
今から戻るなんて信じられなかった。婚約破棄はどうでもいいので、私は事実無根の吹聴騒ぎをどうにかしたい。それで正式に婚約破棄をしてもらって、慰謝料をたっぷりといただくのだ。
「マリアに話を聞くのはいいが十分に注意するのだぞ? オルスタがどう出るかわからないからな」
「わかっているわお父さん、ありがとう」
とりあえずマリアに会って話をしてみよう。全てはそこからね。
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