学院内でいきなり婚約破棄されました

マルローネ

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4話 大変な事態 その2

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 私のお父さんことカレス・クロスフィルド伯爵に面会をしている。私からすれば普通のことだけれど、レヴィンからすればそうでもないらしい。最低限の挨拶を交わしていた。

「カレス様、ご無沙汰しております」

「レヴィン殿、そこまでかしこまらなくても……ははは」


 お父さんも少し引いている様子だった。相手はレヴィンなのだし適当に流してくれればいいのに。ちなみにレヴィンの家系はスノーマンという家系で伯爵家に該当している。

「オルスタ・ガーランド様が大変なことをしたようだな……」

「そうなのよ、お父さん。まさか婚約破棄を言い渡されるなんて思わなかったわ」

「確かに……予期せぬ事態というわけだな」


 お父さんもオルスタの言動は分かっている。今までも何度かこういう事態はあったからだ。でも、今回は明らかに違うと言える。明らかに婚約破棄を言い渡されるなんて異例だからだ。

「オルスタ様は大変なことをしてくれたようだな。婚約破棄の理由は自分の悪口を言われているからだったか?」

「そうなのよ。それを周りに吹聴していると言われたわ。私としてはそんな記憶はないのだけれど」


 レヴィンに不満を漏らしたことは何度もあるけれど、それ以外で友達にオルスタの不満を漏らしたことはない。レヴィンが周りに吹聴するなんてことするはずがないことは分かっているからね。マリアという女性が発信源らしいけど、これも嘘である可能性が高い。マリアという女性は無言を貫いていたからだ。オルスタに言わされている可能性は大いにあるわけで。

「レヴィンが私のことを吹聴していないのが前提になるけれど……」

「おいおい、やめてくれよ。俺はメアリの不満を他の人に話したことはないよ」

「冗談よ、信頼しているわ」

「それなら安心だね」


 お互いに笑って見せる。私達の間でこのくらいの話題は日常茶飯事だった。


「私は婚約者に選ぶ相手を間違えたのか……?」

「お父さん、それは前にも言ったでしょう? お父さんがなるべく上位の貴族というから……」


 そのためにオルスタが相手に選ばれたわけで。同格のレヴィンでは一族の繁栄には向いていないと思ったのかもしれないわね。まあ、その判断自体は間違ってい泣けれど。同格の者との結婚ではそれ以上にはなかなかいけないからね。今以上の地位を確保するなら上位貴族との婚約は間違いではなかった。

「俺とメアリが婚約していたら、こういう問題は起こらなかったと思いますね」

「う~む……私の過ちだったのか……」

「お父さん、そんなに自分を責めないで」


 お父さんは思った以上に自分を責めているようだった。確かにレヴィンと婚約していたら上手く行っていたと思うけれど。お父さんの判断が間違いだったとは思えない。いや、思いたくないと言った方がいいかしら。
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