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2話 学院内での出来事 その2
しおりを挟む「オルスタ……落ち着いてよ」
「これが落ち着いていられるか! マリアからの話では私の悪口も散々に言っていたそうじゃないか!」
「……」
マリアと呼ばれた人物は無言を貫いている。オルスタの悪口か……レヴィンの前では言っていたけれど、それを広めた事実なんてないんだけどな。
「私が自分勝手だって? 私の婚約者のくせによくそんな出鱈目が言えるな、メアリ!」
「……自分勝手なのは事実でしょ?」
「なんだと!?」
煽り耐性がないのかオルスタは逆上していた。二人きりだったら暴力を振るわれていたかもしれない。でも、オルスタは明らかに自分勝手だ。私のことを下に見る発言なんて何回見て来たことか……はあ。
「大変だな、メアリ」
「同情してよね、レヴィン」
「メアリ……私は我慢できないぞ。お前への罰は考えてあるんだ。生徒会長として命じてやる!」
大声で私の罰を発言するつもりらしい。生徒会長の権限を履き違えているとおもうけれど……付き合うしかないのか。
「どんな罰があるって言うの? オルスタ」
「冷静でいられるのも今の内だ。私はお前の態度に辟易していたんだ」
私の態度は自業自得だと思うけれど……そんなことを言っても仕方ないか。
「メアリ、お前との婚約を破棄させてもらうからな! 父上達も納得してくれるだろう!」
「な、なんですって……?」
婚約破棄……? それは流石に想定外だった。
「これだけの事態だ。お前との婚約を破棄しても問題はないだろう。ようやく、お前との婚約を破棄できるというものだ!」
「……」
それはこっちのセリフだった。オルスタとの婚約は嫌なものだったからだ。ちょっとまずい事態だけれど、婚約破棄が成立するなら……。
「もちろん原因はお前にあるのだから、慰謝料は支払わないぞ」
「えっ?」
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「ふ、ふざけないでよ……!」
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「慰謝料も支払わない、共同事業の利益も奪い取るって……そんなこと許されると思っているの!?」
「侯爵令息である私のことを馬鹿にした罰だと思ってもらおうか。本来ならクロスフィルド家ごと崩壊させてやりたいが……まあ、そこは勘弁してやる」
なにが勘弁してやるなのか。クロスフィルド家は私の家系だ。その家系を自由にするなんて侯爵令息の越権行為以外のなにものでもない。
でも、このままではまずい。慰謝料の支払い拒絶や共同事業の利益没収など、実現したら大変なことになるわ。
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