婚約破棄され、専属執事に優しくされました。彼の優しさに惹かれそうです

3話 執事の優しさ その2

「勝ったわ！　フルハウスよ！」

「申し訳ありません。フォアカードでございます」

「ななっ……！！　オーラン、あなたポーカーフェイスね……！」

「ポーカーだけに、ということですね」


　くださらないダジャレの件は置いておいて、私とオーランは部屋でポーカーを楽しんでいた。彼は専属執事である為に、私の近くに居ることが多いのだ。それだけに一緒に遊ぶことも多いわけで。

　今は私の悲しみを癒す為に、色々と気を遣ってくれている。


「まさか、フルハウスで負けてしまうなんて……信じられないわ」

「失礼ながら、メイミー様。フルハウスは危ういと巷では言われております」

「そうなの？　あんなに強いのに？」

「ええ……実際は強いのですが、負けフラグと言うこともあるようです」

「な、なるほど……なかなか、厳しい役なのね……」


　負けフラグの意味は分からないけれど、フルハウスという役は気を付けないと駄目なようね。勉強になったわ。


「メイミー様、次は何をなさいますか？　また、お買い物にでも出かけましょうか？」

「そうね……」


　ここ最近、私はオーランと一緒に行動することが多い。カードゲームをしたり、食事をしたり、買い物に行ったり。その全てに彼に付き合って貰っている。なんだか悪い気がするけれど、それが専属執事の立場だし、彼は気にしていないようだ。

「なんだか最近、あなたと一緒に行動することが多いわよね。今まで以上に」

「確かにそうかもしれませんね、メイミー様。私の今の役目は、メイミー様の悲しみを癒すことにありますので……」

「な、何言っているのよ……！」


　専属執事のオーランだけれど、年齢的には同じ歳だ。彼の言葉についつい、照れてしまった。オーランとは長い付き合いだけれど、今まで照れたことなんてなかったのに……。

　私が小さかったのと、今は私の精神が安定していないのが原因になっているのかもしれないわね。


「申し訳ありませんでした、メイミー様。ご不快に思われたのなら、謝罪いたします」

「いや、別に不快とかじゃないけど……うん、あなたの気持ちは嬉しいわ。ありがとう」

「勿体ないお言葉でございます」


　う～ん、なんだかおかしな気がしてしまう……私の胸はドキドキしていたし。もしかしたら、オーランに対して何かを感じ始めているのかもしれない。それが何なのかは、今の私には分からなかったけれど……。