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5話 王子殿下との接触 その1
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レオナから聞いた情報を元に、私はジェラルド第二王子殿下に会えないかを、考えていた。身内ですら敵の私にとって、彼女の情報は非常に有意義なものになる可能性があったからだ。
「ジェラルド王子殿下が私に会いたがっていたというのは、事実なのね?」
「はい、それは事実でございます」
「それをお父様やお母様……私の身内に話していないのも事実ね?」
「はい、そちらについても間違いございません。おそらくは、こういう状況になるかと考え、旦那様にも内緒にしておりました」
「レオナ……」
フューリ伯爵家の使用人としては不合格かもしれないけれど、彼女は紛れもなく私の味方をしてくれていた。一歩間違えれば、自分の身が危うかったはずなのに……。
まさか、味方になってくれる人物が家族以外にのところで現れるなんてね……予想外だったわ。
「ジェラルド王子殿下とのことを、もう少し詳しく教えてもらえる?」
「はい、もちろんでございます」
レオナから、ジェラルド王子殿下の情報を詳しく聞いていく。その目的は1つしかない……ジェラルド王子殿下が私の味方になってくれる可能性に懸けたのだ。
ジェラルド王子殿下からすれば迷惑な話かもしれないけれど、私にとっては藁にも縋る思いだった。今の絶望的な状況を打破できる可能性があったのだから……。単純にジェラルド王子殿下が私に興味を示してくれた理由も知りたかったけれど……今の私にとっては細かく考えている余裕はなかった。
「アウラ様はここまでの話で、ジェラルド王子殿下とお会いしたいと思っているのですね?」
「ええ、もちろんよ。もしかしたら、私の今の状況を……変えてくれるかもしれないからね」
本音を言えば、こういった打算的な目的でジェラルド王子殿下と会いたいとは思っていない。もっと、心に余裕を持ちながら会うのが通例だろう。でも、今の私にはそんな余裕はなかった。ジェラルド王子殿下にしてみれば、迷惑に当たるかもしれないけれど……私は意を決してレオナに伝える。
「レオナ、もしもあなたが、ジェラルド王子殿下との接触の仲介役を担えるのだとしたら……お願いしてもいいかしら?」
私の懇願にも近いお願いだ……レオナはしばらく、無言になっていた。
「畏まりました、アウラ様。私としましても、アウラ様はジェラルド王子殿下と会っていただきたいと考えておりました。その機会については、私の方から手配させていただきます」
「ありがとう、レオナ。迷惑を掛けるけれど、よろしくね」
「とんでもないことでございます、アウラ様」
レオナは信用して大丈夫だと思われる。私はジェラルド王子殿下との接触を手配してくれる彼女に感謝していた。
今の私のすべきことは1人でも多くの味方を募ることだと思う。そういう意味ではレオナやジェラルド王子殿下は信用に値すると思われる。
血の繋がり以外の人ほど信用できる場合がある……お父様やお母様からも教わったことのない教訓だ。私はそのことを強く自覚し、心に刻み込むことにした。
「ジェラルド王子殿下が私に会いたがっていたというのは、事実なのね?」
「はい、それは事実でございます」
「それをお父様やお母様……私の身内に話していないのも事実ね?」
「はい、そちらについても間違いございません。おそらくは、こういう状況になるかと考え、旦那様にも内緒にしておりました」
「レオナ……」
フューリ伯爵家の使用人としては不合格かもしれないけれど、彼女は紛れもなく私の味方をしてくれていた。一歩間違えれば、自分の身が危うかったはずなのに……。
まさか、味方になってくれる人物が家族以外にのところで現れるなんてね……予想外だったわ。
「ジェラルド王子殿下とのことを、もう少し詳しく教えてもらえる?」
「はい、もちろんでございます」
レオナから、ジェラルド王子殿下の情報を詳しく聞いていく。その目的は1つしかない……ジェラルド王子殿下が私の味方になってくれる可能性に懸けたのだ。
ジェラルド王子殿下からすれば迷惑な話かもしれないけれど、私にとっては藁にも縋る思いだった。今の絶望的な状況を打破できる可能性があったのだから……。単純にジェラルド王子殿下が私に興味を示してくれた理由も知りたかったけれど……今の私にとっては細かく考えている余裕はなかった。
「アウラ様はここまでの話で、ジェラルド王子殿下とお会いしたいと思っているのですね?」
「ええ、もちろんよ。もしかしたら、私の今の状況を……変えてくれるかもしれないからね」
本音を言えば、こういった打算的な目的でジェラルド王子殿下と会いたいとは思っていない。もっと、心に余裕を持ちながら会うのが通例だろう。でも、今の私にはそんな余裕はなかった。ジェラルド王子殿下にしてみれば、迷惑に当たるかもしれないけれど……私は意を決してレオナに伝える。
「レオナ、もしもあなたが、ジェラルド王子殿下との接触の仲介役を担えるのだとしたら……お願いしてもいいかしら?」
私の懇願にも近いお願いだ……レオナはしばらく、無言になっていた。
「畏まりました、アウラ様。私としましても、アウラ様はジェラルド王子殿下と会っていただきたいと考えておりました。その機会については、私の方から手配させていただきます」
「ありがとう、レオナ。迷惑を掛けるけれど、よろしくね」
「とんでもないことでございます、アウラ様」
レオナは信用して大丈夫だと思われる。私はジェラルド王子殿下との接触を手配してくれる彼女に感謝していた。
今の私のすべきことは1人でも多くの味方を募ることだと思う。そういう意味ではレオナやジェラルド王子殿下は信用に値すると思われる。
血の繋がり以外の人ほど信用できる場合がある……お父様やお母様からも教わったことのない教訓だ。私はそのことを強く自覚し、心に刻み込むことにした。
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