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6話

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「こ、国王陛下……あの、その……」

「ああ、済まなかったな。エンリよ。ついつい抱き締めてしまった。許して欲しい」

「いえ、そんな……私は大丈夫なのですが」


 抱き締めてくれたことは嬉しかったし、問題はない。それに……なんだか温かい感情が見えたから。それに、なんだか懐かしいような? なんだろう、この感じ……。


「さて、ゼブラよ」

「はっ、なんでしょうか。国王陛下」

「お前はエンリに全てを話してはいないのだな?」

「は、はい。左様でございます。国王陛下」


 お父様はそのように答えた。全てを話すってどういうことかしら。そう言えば前に隠していることがあるとか言っていたっけ。それと関係あるのかしら。

「エンリに話すのはその……色々と気が引けましたので……その時が来るまでは、黙っておこうかと」

「ふむ、なるほど。しかし、それでは私がこのように抱き着いては戸惑うわけだ」

「あの、陛下……どういうことでしょうか?」


 気になって仕方ないわ。この懐かしい雰囲気とも関係あるのでしょうし……。なにかとんでもないことが聞けそうな気がしてしまう。


「ゼブラ、エンリに話すが良いな?」

「はい、国王陛下」

「よし。よく聞くのだ、エンリよ。お前の実の父親はゼブラではない」

「えっ……? そ、それってどういうことでしょうか……?」


 一瞬、なにを言われたのか分からなかった。私がお父様の娘ではない……? まさか、グリアム国王陛下からそんな言葉が出て来るなんて思わなかったわ。確かに、私はお父様やお母様とは似ていないと思っていたこともあったけれど。

「エンリよ、お前の実の父親は私だ」

「へ、陛下……!? それは本当ですか……?」

「うむ、本当だ」

「お父様……?」

「済まない、エンリ。お前のことを実の娘以上に可愛がってきたつもりだったが。血の繋がりで言えば、お前はサイラス王家の出なのだ」

「嘘……」


 これがお父様が隠していた真実ということだろうか。やはり話に付いて行くことができなかった。


「いきなりのことで混乱する気持ちは分かる。だが、グリアム国王陛下がここに来た理由は分かっただろう? お前が王家の人間でなければ、国王陛下自らがお越しになるなどあり得ないよ」

「お父様……それは確かにそうかもしれませんが……」


 どうやら冗談などではなく、真実ということらしい。私が王家の人間で現国王陛下であるグリアム様の子供……ということは、私は王女になると言うの? 信じられないわ……。

「あれ? ということはビルデ様は……」

「うむ、とんでもないことをしてくれたものだな。王女になるべく人間に無礼を働いたことになるのだ。それに、動物の死体を送り込んだり、不幸の手紙を届けたりと好き勝手してくれたようだ。しかるべき報いが生じるだろう」


 とんでもないことになってきたわね。侯爵様とはいえ、ビルデ様も今回ばかりはただでは済まないでしょうね……。
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