6 / 14
6話
しおりを挟む
「こ、国王陛下……あの、その……」
「ああ、済まなかったな。エンリよ。ついつい抱き締めてしまった。許して欲しい」
「いえ、そんな……私は大丈夫なのですが」
抱き締めてくれたことは嬉しかったし、問題はない。それに……なんだか温かい感情が見えたから。それに、なんだか懐かしいような? なんだろう、この感じ……。
「さて、ゼブラよ」
「はっ、なんでしょうか。国王陛下」
「お前はエンリに全てを話してはいないのだな?」
「は、はい。左様でございます。国王陛下」
お父様はそのように答えた。全てを話すってどういうことかしら。そう言えば前に隠していることがあるとか言っていたっけ。それと関係あるのかしら。
「エンリに話すのはその……色々と気が引けましたので……その時が来るまでは、黙っておこうかと」
「ふむ、なるほど。しかし、それでは私がこのように抱き着いては戸惑うわけだ」
「あの、陛下……どういうことでしょうか?」
気になって仕方ないわ。この懐かしい雰囲気とも関係あるのでしょうし……。なにかとんでもないことが聞けそうな気がしてしまう。
「ゼブラ、エンリに話すが良いな?」
「はい、国王陛下」
「よし。よく聞くのだ、エンリよ。お前の実の父親はゼブラではない」
「えっ……? そ、それってどういうことでしょうか……?」
一瞬、なにを言われたのか分からなかった。私がお父様の娘ではない……? まさか、グリアム国王陛下からそんな言葉が出て来るなんて思わなかったわ。確かに、私はお父様やお母様とは似ていないと思っていたこともあったけれど。
「エンリよ、お前の実の父親は私だ」
「へ、陛下……!? それは本当ですか……?」
「うむ、本当だ」
「お父様……?」
「済まない、エンリ。お前のことを実の娘以上に可愛がってきたつもりだったが。血の繋がりで言えば、お前はサイラス王家の出なのだ」
「嘘……」
これがお父様が隠していた真実ということだろうか。やはり話に付いて行くことができなかった。
「いきなりのことで混乱する気持ちは分かる。だが、グリアム国王陛下がここに来た理由は分かっただろう? お前が王家の人間でなければ、国王陛下自らがお越しになるなどあり得ないよ」
「お父様……それは確かにそうかもしれませんが……」
どうやら冗談などではなく、真実ということらしい。私が王家の人間で現国王陛下であるグリアム様の子供……ということは、私は王女になると言うの? 信じられないわ……。
「あれ? ということはビルデ様は……」
「うむ、とんでもないことをしてくれたものだな。王女になるべく人間に無礼を働いたことになるのだ。それに、動物の死体を送り込んだり、不幸の手紙を届けたりと好き勝手してくれたようだ。しかるべき報いが生じるだろう」
とんでもないことになってきたわね。侯爵様とはいえ、ビルデ様も今回ばかりはただでは済まないでしょうね……。
「ああ、済まなかったな。エンリよ。ついつい抱き締めてしまった。許して欲しい」
「いえ、そんな……私は大丈夫なのですが」
抱き締めてくれたことは嬉しかったし、問題はない。それに……なんだか温かい感情が見えたから。それに、なんだか懐かしいような? なんだろう、この感じ……。
「さて、ゼブラよ」
「はっ、なんでしょうか。国王陛下」
「お前はエンリに全てを話してはいないのだな?」
「は、はい。左様でございます。国王陛下」
お父様はそのように答えた。全てを話すってどういうことかしら。そう言えば前に隠していることがあるとか言っていたっけ。それと関係あるのかしら。
「エンリに話すのはその……色々と気が引けましたので……その時が来るまでは、黙っておこうかと」
「ふむ、なるほど。しかし、それでは私がこのように抱き着いては戸惑うわけだ」
「あの、陛下……どういうことでしょうか?」
気になって仕方ないわ。この懐かしい雰囲気とも関係あるのでしょうし……。なにかとんでもないことが聞けそうな気がしてしまう。
「ゼブラ、エンリに話すが良いな?」
「はい、国王陛下」
「よし。よく聞くのだ、エンリよ。お前の実の父親はゼブラではない」
「えっ……? そ、それってどういうことでしょうか……?」
一瞬、なにを言われたのか分からなかった。私がお父様の娘ではない……? まさか、グリアム国王陛下からそんな言葉が出て来るなんて思わなかったわ。確かに、私はお父様やお母様とは似ていないと思っていたこともあったけれど。
「エンリよ、お前の実の父親は私だ」
「へ、陛下……!? それは本当ですか……?」
「うむ、本当だ」
「お父様……?」
「済まない、エンリ。お前のことを実の娘以上に可愛がってきたつもりだったが。血の繋がりで言えば、お前はサイラス王家の出なのだ」
「嘘……」
これがお父様が隠していた真実ということだろうか。やはり話に付いて行くことができなかった。
「いきなりのことで混乱する気持ちは分かる。だが、グリアム国王陛下がここに来た理由は分かっただろう? お前が王家の人間でなければ、国王陛下自らがお越しになるなどあり得ないよ」
「お父様……それは確かにそうかもしれませんが……」
どうやら冗談などではなく、真実ということらしい。私が王家の人間で現国王陛下であるグリアム様の子供……ということは、私は王女になると言うの? 信じられないわ……。
「あれ? ということはビルデ様は……」
「うむ、とんでもないことをしてくれたものだな。王女になるべく人間に無礼を働いたことになるのだ。それに、動物の死体を送り込んだり、不幸の手紙を届けたりと好き勝手してくれたようだ。しかるべき報いが生じるだろう」
とんでもないことになってきたわね。侯爵様とはいえ、ビルデ様も今回ばかりはただでは済まないでしょうね……。
0
お気に入りに追加
1,113
あなたにおすすめの小説
馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます
白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。
そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。
最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。
『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
みんなもやってるから浮気ですか?なら、みんながやってるので婚約破棄いたしますね
荷居人(にいと)
恋愛
私には愛する婚約者がいる。幼い頃から決まっている仲のいい婚約者が。
優しくて私だけをまっすぐ見てくれる誠実な人。嫌なことがあっても彼がいればそれだけで幸せな日となるほどに大切な人。
そんな婚約者は学園の高等部になってから変わってしまった。
「すまない!男ならみんながやってることだからと断りきれなくて……次からはしないよ!愛してるのは君だけなんだ!」
誠実から不誠実の称号を得た最初の彼の変化。浮気だった。気づいたのは周りの一部の令嬢が婚約者の浮気で落ち込むのが多くなり、まさか彼は違うわよね………と周りに流されながら彼を疑う罪悪感を拭うために調べたこと。
それがまさか彼の浮気を発覚させるなんて思いもしなかった。知ったとき彼を泣いて責めた。彼は申し訳なさそうに謝って私だけを愛していると何度も何度も私を慰めてくれた。
浮気をする理由は浮気で婚約者の愛を確かめるためなんて言われているのは噂でも知っていて、実際それで泣く令嬢は多くいた。そんな噂に彼も流されたのだろう。自分の愛は信用に足らなかったのだろうかと悲しい気持ちを抑えながらも、そう理解して、これからはもっと彼との時間を増やそうと決意した。
だけど………二度、三度と繰り返され、彼の態度もだんだん変わり、私はもう彼への愛が冷めるどころか、彼の愛を信じることなんてできるはずもなかった。
みんながやってるから許される?我慢ならなくなった令嬢たちが次々と婚約破棄をしてるのもみんながやってるから許されますよね?拒否は聞きません。だってみんながやってますもの。
旦那様、離婚しましょう
榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。
手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。
ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。
なので邪魔者は消えさせてもらいますね
*『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ
本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる