味方は公爵令息様でした

マルローネ

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「シルバ様……今、なんと言ったのですか?」

「聞こえなかったのか、エレン。お前との婚約は破棄させてもらうと言ったのだ」

「そ、そんな……! どうしてですか? 私が何かしましたでしょうか?」


 婚約者のシルバ・シーゼンはしばらく黙っていた。不安が押し寄せてくる……何を言われるんだろうかと。


「お前は不要な子供だったな確か」

「う……そ、それは……確かにそうかもしれませんが……」


 私は家族……アングラ伯爵家の三女として生まれた。その為か昔から不要な存在として扱われ……16歳になった現在まで、家族から優しくされたことはなかった。今回の婚約も私を屋敷から追い出す為のものだったし……。でっも、私は嬉しかった。やっと、居場所ができたような気がして。

 でも……シルバは浮気癖の強い人物だったのだ。


「アングラ家の三女は不要な人物。そういう噂が流れているのだよ。私にとってもそれは困ってしまう。だからこそ、お前との婚約を破棄させてもらうのだ」

「そんな……! そんなことで……婚約破棄だなんて……」

「貴族の間では重要なことだ。それに私クラスの者になればもっと良い相手が見つかるからな。お前は外見が良かったから手元に残しておきたかったが……まあ仕方ない」


 これがシルバの婚約した理由だ。私の外見しか見ていない。中身なんてどうでもいいわけだ。でも、私はこの婚約にすがりつくしかなかった。

「お願いします、シルバ様! なんとか婚約破棄をなしにしてください! 私には帰る場所がないのです!」

「ああ、そういえば家族は追い出したいそうだな。なかなか大変だが……そんなことは知ったことではない」

「そんな……!」

「ははははは、隣国にでも逃げたらどうだ? 誰も追っては来ないと思うぞ?」


 隣国……そんなところへ行ってまともに過ごせるわけがない。令嬢一人ではそれこそ奴隷として扱われてしまうかもしれないからだ。


「とにかく、婚約破棄は絶対だ。同時にお前はこの屋敷から出て行ってもらおう。疫病神に用はないからな」

「そんな……シルバ様、お願いします! 許してください!」

「うるさい奴だな……おい、この娘を強制的に外へ出すんだ!」

「わかりました。少々手荒にはなりますが、ご容赦ください」

「ああ、構わないぞ」


 私はその後、シルバの近くに立っていた護衛により屋敷の外へと出された。わずかな荷物とお金だけを渡されて……。信じられない……こんなにも強引に婚約破棄をされるなんて。

 しかも、私には帰る場所がないのだ……どうすればいいのかしら? 婚約破棄が成立した時点で家族は私に敵意を見せるはずだ。屋敷に入れてはもらえないだろう……こんなことが起きるなんて。

 私は隣国へ逃げるしかないの? いや、それは非現実的なことだった……。
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