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8話 視点変更

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(ドルト視点)


「ねえドルト。彼女……シンディはどんな表情をしていたかしら?」

「ああ、エリーヌ。私に振られたのがかなりショックだったようだよ。涙を出さないように気丈に振る舞ってはいたが……まあ、屋敷に着いてからは泣きはらしただろうね。そう確信できる程に面白かったよ」

「まあ、悪い人。でも、楽しいわね。伯爵令嬢が後悔の末に落ちぶれて行くのは……なんだか、私の地位を再確認できるというか」

「まあ、私達にはそういう優越感は重要だろうね。パーティーか何かでシンディを見かけた場合は死ぬほど馬鹿にしてやるのも面白いかもしれないよ」

「まあ、悪い人! でもそうね……楽しいかもしれないわね」


 侯爵令息となると、色々とストレスが出て来る……それの発散というのは重要だからな。エリーヌがこういうタイプの人間で良かったよ。やっぱり、気が合う者同士、付き合うのが最高だね。


「よし! では決まりだね。次に会った時は確実に潰してあげましょうよ! どんな顔をするのか、楽しみでならないわ」

「おいおい、エリーヌ。潰すだなんて酷いな。シンディは私の婚約者だった相手なのだよ? それをそんな……」

「そんなことを言って、楽しそうな顔になっているのは隠せないわね。どうして笑っているのかしら?」

「ははは、バレたか」

「ふふふ、バレバレよ」


 エリーヌの話に乗っていたのは私だったのだ。潰すとまでやる必要はないだろうが、私達のストレス発散のはけぐちになってもらおうか。そのくらいは許されるだろう。なにせ侯爵家だからな私達は。

 シンディの奴を次に会うのは大分先になるかもしれないが……まあ、その辺りはどうでもいいか。パーティーかなにかで出会った際には思い切りいじめてやるとしようか。エリーヌの言う通り因縁を付けて立ち直れないくらいの言葉を浴びせてもいいかもしれない。

 そんな中、他の貴族達は感じるのだ……私達の権力の高さというやつをな。せいぜいシンディには生贄になってもらうとするか。

 さて……私達の次の予定はなんだ? パーティーなどはしばらく予定に入ってなかったと思うが。

「そうだ今度、貴族街にレストランが建設されるらしい。名前は忘れたが……フェリックス王家が作ったとされる店だ」

「まあ、そんなところがあるのね」

「出来上がったら一緒に行かないか?」

「楽しそうね。そうしましょう」


 フェリックス王家のレストラン……面白そうなところだ。王子殿下たちともお近づきになれるかもしれんからな。
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