婚約破棄されたら、お父様と幼馴染がキレてくれました!

マルローネ

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1話

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「あ、あの……ウィンド様……ええと」

「どうかしたのか? パウナ?」


 私は今、ロープで縛られている。ウィンド様は何かをするわけではないけれど、就寝の時は大抵この状況だ。ウィンド様の趣味とでも言えばいいのだろうか……私は家畜のように扱われていた。もちろん、食事などは普通に取れるしトイレやお風呂も普通に行けるけれど。


「家畜のような扱い……やめていただけませんか?」

「別にお前の身体に危害は加えていないだろう?」

「そうですけど……」


 私が体調悪くなれば拘束は外してはくれる。でも、男尊女卑の感覚を押し付けられているようで嫌だった。結婚をした場合、さらにエスカレートする可能性があるし。こういうのはイメクラと世間では言うらしい。


「本当にこまります……」

「私の趣味に付き合ってくれてもいいじゃないか。そうだろう、パウナ? 子爵令嬢でしかないお前が伯爵の私と付き合えるんだ。喜んでいいと思うがな」

「……」


 ウィンド様は以前の妻と別れている。もしかして、こういう趣味で別れることになったのかもしれないわね。伯爵様と婚約出来るのは家の為になると思っていたけれど、間違いだったかもしれない……。


「ウィンド様の趣味を否定するつもりはありません。でも、こういうイメージクラブみたいなものは私にはしないで欲しいです。私はその……ついて行けませんので……」


 正直な気持ちをウィンド様に伝えた。こればかりは流石に慣れない……今までは仕方なく付き合っていたけれど、そろそろ我慢の限界だった。すると、ウィンド様の態度が……。


「なんだと、私に逆らうと言うのか?」

「いえ、逆らうと言うか……このようなプレイは嫌いだと言いたいだけで……」

「同じことじゃないか! 全く……子爵令嬢を仕方なくめとってやったのに、恩を仇で返すつもりなんだな?」

「いえ! 決してそういうわけでは……ウィンド様!」

「ええい、うるさい! お前の見苦しい言い訳など聞きたくない! 私の言うことを素直に聞けないのなら……即刻、婚約破棄だ! 私は別の女性を迎え入れるとしようか!

「婚約破棄……!? ウィンド様……?」

「パウナ! お前との婚約は破棄させてもらう! 当然、慰謝料なども支払わないからな! 覚悟しておくがいいわ!」

「そ、そんな……!」


 私は拘束を外されたけれど、同時にウィンド様の屋敷からも追放されてしまった。彼の使用人達は同情の様子を見せてくれていたけれど、主人には逆らえないようで……。えっ? これで婚約破棄が成立してしまったと言うの……?
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