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8話
しおりを挟む「エリナ! お前は伯爵令嬢になったわけだ! 前の婚約破棄はなかったことにしようではないか! 私の元に戻ってこい!」
「……」
「……」
私もアラン様も無言にならざるを得なかった……まさか、ここまでのことを言えるとは思っていなかったからだ。いくら傍若無人のクラウドでも……と考えていた。でもそれは私の勘違いだったようね。
「クラウド様……何をおっしゃっているのかわかりませんが、私はあなた様の元に戻るつもりはありません」
「な、なんだと……! どういうことだ……?」
私の言葉に対して、クラウド様は本気で驚いている様子だった。本気で驚く時点で既に意味が分からないのだけれど、彼にわかるように説明する必要がありそうね。
「当たり前でしょう? 既にアラン様と婚約しているんですから……そんな勝手なことできませんよ」
「なにを言っている!? アランは伯爵令息だろう? 私と一緒になった方が確実に良いはずだ! 考え直せ! 今からであれば元に戻れると言っているのだからな!」
「……」
「……」
また、無言にならざるを得なかった。クラウドは完全に勘違いしているようだ。というより、自分が悪いことを自覚していないようだわ。
「クラウド様は私を捨てたでしょう? それを今さら戻ってこいだなんて……あまりにも身勝手すぎます」
「その通りですね、クラウド様。現状、エリナ嬢があなたの所に戻って良い結果になるとは思えません」
アラン様も的確にフォローしてくれた。その通りだ……私が戻る理由がない。
「な、なんだと……! それではエリナ! 私のところに戻る気がないと言うのか……!?」
「だから最初からそのように言っています。もうクラウド様を信用することができません。私が伯爵令嬢になったからと言って急に手のひらを返す……そんな人を誰が信用できるんですか!?」
「え、エリナ……そんな……!」
クラウドはその場で崩れ落ちてしまった。でも、自業自得というものだ。少しは反省してくれれば良いと思うけど……期待はできないわね。
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