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5話
しおりを挟む「オルテガ……お前、どうしてニエルと一緒にいるんだ?」
「おや、誰かと思えばミカエルじゃないか。久しぶりだな」
「久しぶり、ではない。お前は……よくも堂々とセラに話し掛けられるな」
「……どういう意味だ?」
オルテガ様は現状を把握できていないようだ。ニエルも同じだろうか。私がミカエルと一緒にいる時点でどういう話をされていたかは想像がつくと思うのだけれど。
「オルテガ様よ……セラ様と話しているみたいだけれど、大丈夫なのかしら?」
「オルテガ様可哀想……セラに何か言われなければ良いけれど……」
完全にアウェーの環境が整いつつあった。どうも、周囲の貴族令嬢や令息はオルテガ様の味方になっているようだ。真実は誰にも分からないのに……貴族とはこういうものなのかしら?
「お前はニエルと一緒になる為に、セラと別れたんだろう? 今、噂になっていることは全て出鱈目じゃないか」
「おいおい、人聞きの悪いことを言うなよ、ミカエル。私はセラの束縛が厳しかったから仕方なく別れたんだ。彼女の束縛が強かったのは事実さ」
「束縛、か。本当なのか、セラ?」
「オルテガ様を束縛したつもりなんてないわ。ただ、彼がそれだけ注意を受ける立場だったってことよ」
オルテガ様は侯爵令息にしては勉学も礼儀作法も学べてはいなかった。それは将来的にマズいと思って私は忠告していただけに過ぎない。なぜかそれを精神的疾患を持つヒステリー女だと言われたけれど。
「見ろオルテガ。セラはこう言っているぞ?」
「ふん、そんなことは自分の都合の良いように解釈できるだろう? 私やニエルから見れば、精神的な疾患を持っているようにしか思えなかったのさ。そうだろう? ニエル」
「ええ、そうですね。私も姉さまは精神的疾患を持っていると思います」
「ニエルまで……」
本当に失礼な言葉だった。これではますます、周囲の人達に誤解を与えてしまうではないか。おそらくオルテガ様とニエルの二人はわざとやっているわね。
「精神的疾患か……まあ、私から見ればセラは正常にしか思えない。むしろ、二人の方が何かを患っているように見えるぞ?」
「なんだと、ミカエル」
「ま、まあ! 失礼な……!」
「どちらの言い分が正しいか、公式な場で判断してもらおうじゃないか。出来れば国王陛下がいる場の方が良いな」
ミカエルの反撃が開始されたと言ったところだろうか……明らかに二人は焦っているようだったし。こうなれば、二人の罪を問うのも良いかもしれないわね……。
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