3 / 7
3話
しおりを挟む
「噂されているわね……マルナ」
「本当ですね、セラ様」
私とマルナは少数の護衛を連れてとあるパーティーに参加していた。そこで感じた違和感……ある意味、予想が出来ていたのだけれど、こんなことになるなんて。
「見てください、伯爵令嬢のセラ様ですよ。ほら、モンス侯爵家のオルテガ様と付き合っていた」
「なんだかヒステリーを起こして婚約が解消されたらしいが……」
「精神疾患を患っているとかなんとか……」
噂はするけれど、誰も私に近づいてこようとしない。私はどうやら危険人物に見られているようだった。精神疾患患者と思われているのは困るわね。これでは次の縁談の話が来ないだろうし……。
「酷い噂が流れているようですね……」
「本当ね。ニエルもオルテガ様も何を考えているのかしら」
精神疾患なんて嘘でしかないのに、その噂が流されている……これは、王家にもその話で婚約破棄の話をしたことに他ならない。オルテガ様はなんてことをしたのかしら……まあ、実際にしたのはその父親であるデウガ様なんでしょうけれどね。
「はあ、憂鬱になりそうだわ……せっかく、マルナとこうしてパーティーに出席して気分転換をしようと思ったのに……」
「心中お察しいたします、セラ様。帰りたくなったらいつでも言ってくださいね」
「わかったわ。ありがとう」
マルナに気を遣わせてしまっている。パーティーに出席しているからには、少しくらい時間を潰す必要があるだろうか。さて、どうしたらいいのかしら……。
「おや、君は……セラじゃないか?」
「えっ、あなたは……ミカエル?」
「そうだよ、ミカエルだよ! 久しぶりじゃないか!」
まさか、こんなところでミカエルと出会えるなんて思わなかった。彼とはマルナと同じく幼馴染である。侯爵令息のミカエル・アンバスター。地位は上の人物だけれど、私は以前から彼のことを呼び捨てにしていた。
「5年振りくらいかな? セラ、綺麗になったな!」
「やめてよ、もう……ミカエルだって背が伸びているじゃない。格好良くなっているわよ?」
「はは、ありがとう」
ミカエルと前に会ったのは12歳くらいの時だ。それからしばらくは会っていなかった。お互いに背が伸びて外見が変わるのは仕方ないわね。でも、ミカエルは好青年みたいな感じになっている。前はわんぱくなイメージがあっただけに、随分と変わったわね。
「積もる話なんかもしたいところだね」
「ええ、そうね。でもまあ、ここでは難しいかもしれないけれど」
周囲が私の噂で持ち切りだからだ。あんまりこの場でミカエルと話すのは良くない。彼まで好奇な目で見られるだろうからだ。
「なんだか、変な噂話が出ているみたいだけど……」
「え、ええ……そうね」
「心当たりはあるのかい?」
「……」
出来ればミカエルには知られたくない。でも、流石に話さないわけにはいかないわよね。私は覚悟を決めた。
「本当ですね、セラ様」
私とマルナは少数の護衛を連れてとあるパーティーに参加していた。そこで感じた違和感……ある意味、予想が出来ていたのだけれど、こんなことになるなんて。
「見てください、伯爵令嬢のセラ様ですよ。ほら、モンス侯爵家のオルテガ様と付き合っていた」
「なんだかヒステリーを起こして婚約が解消されたらしいが……」
「精神疾患を患っているとかなんとか……」
噂はするけれど、誰も私に近づいてこようとしない。私はどうやら危険人物に見られているようだった。精神疾患患者と思われているのは困るわね。これでは次の縁談の話が来ないだろうし……。
「酷い噂が流れているようですね……」
「本当ね。ニエルもオルテガ様も何を考えているのかしら」
精神疾患なんて嘘でしかないのに、その噂が流されている……これは、王家にもその話で婚約破棄の話をしたことに他ならない。オルテガ様はなんてことをしたのかしら……まあ、実際にしたのはその父親であるデウガ様なんでしょうけれどね。
「はあ、憂鬱になりそうだわ……せっかく、マルナとこうしてパーティーに出席して気分転換をしようと思ったのに……」
「心中お察しいたします、セラ様。帰りたくなったらいつでも言ってくださいね」
「わかったわ。ありがとう」
マルナに気を遣わせてしまっている。パーティーに出席しているからには、少しくらい時間を潰す必要があるだろうか。さて、どうしたらいいのかしら……。
「おや、君は……セラじゃないか?」
「えっ、あなたは……ミカエル?」
「そうだよ、ミカエルだよ! 久しぶりじゃないか!」
まさか、こんなところでミカエルと出会えるなんて思わなかった。彼とはマルナと同じく幼馴染である。侯爵令息のミカエル・アンバスター。地位は上の人物だけれど、私は以前から彼のことを呼び捨てにしていた。
「5年振りくらいかな? セラ、綺麗になったな!」
「やめてよ、もう……ミカエルだって背が伸びているじゃない。格好良くなっているわよ?」
「はは、ありがとう」
ミカエルと前に会ったのは12歳くらいの時だ。それからしばらくは会っていなかった。お互いに背が伸びて外見が変わるのは仕方ないわね。でも、ミカエルは好青年みたいな感じになっている。前はわんぱくなイメージがあっただけに、随分と変わったわね。
「積もる話なんかもしたいところだね」
「ええ、そうね。でもまあ、ここでは難しいかもしれないけれど」
周囲が私の噂で持ち切りだからだ。あんまりこの場でミカエルと話すのは良くない。彼まで好奇な目で見られるだろうからだ。
「なんだか、変な噂話が出ているみたいだけど……」
「え、ええ……そうね」
「心当たりはあるのかい?」
「……」
出来ればミカエルには知られたくない。でも、流石に話さないわけにはいかないわよね。私は覚悟を決めた。
21
お気に入りに追加
514
あなたにおすすめの小説
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)
リオール
恋愛
父の代わりに公爵家の影となって支え続けてるアデラは、恋愛をしてる暇もなかった。その結果、18歳になっても未だ結婚の「け」の字もなく。婚約者さえも居ない日々を送っていた。
そんなある日。参加した夜会にて彼と出会ったのだ。
運命の出会い。初恋。
そんな彼が、実は王子様だと分かって──!?
え、私と婚約!?行き遅れ同士仲良くしようって……えええ、本気ですか!?
──と驚いたけど、なんやかんやで溺愛されてます。
そうして幸せな日々を送ってたら、やって来ましたよ妹が。父親に甘やかされ、好き放題我が儘し放題で生きてきた妹は私に言うのだった。
婚約者を譲れ?可愛い自分の方がお似合いだ?
・・・はああああ!?(゚Д゚)
===========
全37話、執筆済み。
五万字越えてしまったのですが、1話1話は短いので短編としておきます。
最初はギャグ多め。だんだんシリアスです。
18歳で行き遅れ?と思われるかも知れませんが、そういう世界観なので。深く考えないでください(^_^;)
感想欄はオープンにしてますが、多忙につきお返事できません。ご容赦ください<(_ _)>
妹に勝手に婚約者を交換されました。が、時が経った今、あの時交換になっていて良かったと思えています。
四季
恋愛
妹に勝手に婚約者を交換されました。が、時が経った今、あの時交換になっていて良かったと思えています。
私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった
天宮有
恋愛
公爵貴族ジェードが、侯爵令嬢の私アイリスとの婚約破棄を言い渡す。
私の妹クーナスを新しく婚約者にするようだけど、ジェードはクーナスの酷さを知らない。
私が忠告するけど聞き入れず、ジェードは後悔することとなる。
その後、私に新たな婚約者が決まった頃に、謝罪に来たジェードが再び婚約して欲しいとやって来た。
ジェードは必死に頼むけど、私がジェードと婚約することはなかった。
馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます
白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。
そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。
最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。
『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』
聖人な婚約者は、困っている女性達を側室にするようです。人助けは結構ですが、私は嫌なので婚約破棄してください
香木あかり
恋愛
私の婚約者であるフィリップ・シルゲンは、聖人と称されるほど優しく親切で慈悲深いお方です。
ある日、フィリップは五人の女性を引き連れてこう言いました。
「彼女達は、様々な理由で自分の家で暮らせなくなった娘達でね。落ち着くまで僕の家で居候しているんだ」
「でも、もうすぐ僕は君と結婚するだろう?だから、彼女達を正式に側室として迎え入れようと思うんだ。君にも伝えておこうと思ってね」
いくら聖人のように優しいからって、困っている女性を側室に置きまくるのは……どう考えてもおかしいでしょう?
え?おかしいって思っているのは、私だけなのですか?
周囲の人が彼の行動を絶賛しても、私には受け入れられません。
何としても逃げ出さなくては。
入籍まであと一ヶ月。それまでに婚約破棄してみせましょう!
※ゆる設定、コメディ色強めです
※複数サイトで掲載中
(完結)私の婚約者はあなたではありません(全5話)
青空一夏
恋愛
私はアウローラ侯爵家のプリシラ。アウローラ侯爵家の長女だ。王立貴族学園の3年生で楽しい学園生活を送っていたわ。
けれど、ついこの間からサパテロ伯爵家の長男ゴルカ様に付きまとわれるようになり、意味がわからないことばかりおっしゃるの。だから、私は・・・・・・
5話完結。
※こちらは貴族社会の西洋風の世界ですが史実には基づいておりません。この世界では爵位は女性でも継げます。基本的には長子が爵位を継ぎますが、絶対的ではありません。
※現代的な表現、器機、調味料、料理など出てくる場合あります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる