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10話 最低男 その2
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「マレーネ……」
「……」
マレーネは私の問いかけに答えるつもりはないみたいね。というより、気付いてなさそうだった。どういうこと?
なぜ、グラン様とマレーネはモメているの? 話を聞いていた限りでは、マレーネのプレゼントだと思っいたアメジストの指輪が、別の令嬢のプレゼントだった……そうとは知らずにマレーネがそれに触れたから、グラン様が怒ったようだけれど。
「グラン様……その……」
「なんですか? あなたは確か、マレーネの姉のセレナ嬢でしたよね?」
「はい、セレナ・タイタニアスと申します。初めまして……ですね」
「ええ、おそらくは……あなたは、ガレス様の婚約者なのでしょう?」
「そ、そうですが……」
グラン様は話し方こそ丁寧ではあるけれど、やけにぶっきら棒というか、適当に話している印象があった。まるで、私と話すのは時間の無駄だと言わんばかりに……。
「私とマレーネのことに口を挟まないでいただけますか?」
「そんなことを言われても……!」
「なんですか?」
「えっ、それは……」
私はグラン様の迫力に言葉をつっかえてしまっていた。私は何がしたいのだろう、とこの時、冷静になる。マレーネのことを救いたいと思ってる……? マレーネは身勝手にガレス様との婚約を反故にし、私にその責任の全てを押し付けた相手なのに。
ガレス様が優しいお方だったから許せているけれど、それは結果論でしかない。それに……確かにグラン様の言う通り、私が割って入る正当な理由がなかった。今のところは特に。
「あなたはガレス様と買い物に来たのでしょう? そちらに集中したらどうですか?」
「……」
何も言い返すことは出来なかった。ある意味ではグラン様が正しいのかもしれない。痴情のもつれのようには見えるけど、それをこんな場所で根掘り葉掘り問いただすのも、マナー違反のような気がするし。
私はこの場は引き下がろうとして、一歩後ろに歩を進めた。すると……。
「が、ガレス様……!?」
ガレス様にぶつかってしまった。どうやら彼は、私の真後ろから先ほどの会話を聞いていたようだ。
「ガレス様も何か用ですかな?」
「何か用ですか、ではないでしょう? 聞いた限りではそのアメジストの指輪は、婚約者でもない女性へのプレゼントのようだ」
「それが何か?」
「例え、そのプレゼントをする女性とは清い交際なのだとしても、婚約者であるマレーネ嬢と買い物に来るのはおかしい。それに、彼女がその指輪に触っただけで怒るというのも、上位貴族の態度としてどうかと思いますがね」
「……」
ガレス様ははっきりとした口調で、グラン様に言ってのけた。まるで、私が言葉につかえて言えなかったことを代弁するかのように。
「……」
マレーネは私の問いかけに答えるつもりはないみたいね。というより、気付いてなさそうだった。どういうこと?
なぜ、グラン様とマレーネはモメているの? 話を聞いていた限りでは、マレーネのプレゼントだと思っいたアメジストの指輪が、別の令嬢のプレゼントだった……そうとは知らずにマレーネがそれに触れたから、グラン様が怒ったようだけれど。
「グラン様……その……」
「なんですか? あなたは確か、マレーネの姉のセレナ嬢でしたよね?」
「はい、セレナ・タイタニアスと申します。初めまして……ですね」
「ええ、おそらくは……あなたは、ガレス様の婚約者なのでしょう?」
「そ、そうですが……」
グラン様は話し方こそ丁寧ではあるけれど、やけにぶっきら棒というか、適当に話している印象があった。まるで、私と話すのは時間の無駄だと言わんばかりに……。
「私とマレーネのことに口を挟まないでいただけますか?」
「そんなことを言われても……!」
「なんですか?」
「えっ、それは……」
私はグラン様の迫力に言葉をつっかえてしまっていた。私は何がしたいのだろう、とこの時、冷静になる。マレーネのことを救いたいと思ってる……? マレーネは身勝手にガレス様との婚約を反故にし、私にその責任の全てを押し付けた相手なのに。
ガレス様が優しいお方だったから許せているけれど、それは結果論でしかない。それに……確かにグラン様の言う通り、私が割って入る正当な理由がなかった。今のところは特に。
「あなたはガレス様と買い物に来たのでしょう? そちらに集中したらどうですか?」
「……」
何も言い返すことは出来なかった。ある意味ではグラン様が正しいのかもしれない。痴情のもつれのようには見えるけど、それをこんな場所で根掘り葉掘り問いただすのも、マナー違反のような気がするし。
私はこの場は引き下がろうとして、一歩後ろに歩を進めた。すると……。
「が、ガレス様……!?」
ガレス様にぶつかってしまった。どうやら彼は、私の真後ろから先ほどの会話を聞いていたようだ。
「ガレス様も何か用ですかな?」
「何か用ですか、ではないでしょう? 聞いた限りではそのアメジストの指輪は、婚約者でもない女性へのプレゼントのようだ」
「それが何か?」
「例え、そのプレゼントをする女性とは清い交際なのだとしても、婚約者であるマレーネ嬢と買い物に来るのはおかしい。それに、彼女がその指輪に触っただけで怒るというのも、上位貴族の態度としてどうかと思いますがね」
「……」
ガレス様ははっきりとした口調で、グラン様に言ってのけた。まるで、私が言葉につかえて言えなかったことを代弁するかのように。
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