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11話 嵐の原因 その3

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「あ~あ、やっぱり気付かれるか。シードって奴にも気付かれたみたいだし、リーザには気付かれるよね」

 クリファは近付いて来たシロウの背中を撫でながら、口を尖らせていた。気付かれたのが不満だったらしい。シロウはクリファの傍でおすわりをしている。


「クリファ、あの局地的災害はお前の仕業だったのか? なぜそんなことを?」

「だって……あいつはリーザに酷いことをしたんだよ? あれくらいの裁きは必要でしょ?」


 クリファは特に悪びれている様子はない。むしろ達成感を持って行っているようだった。自分の行ったことは正しいと疑っていないのだろう。

「クリファ、私の為にしてくれたのは嬉しいのだけれど……あの局地的な嵐は大変よ? 関係ない人も巻き込まれているんだから」

「そうかもしれないけれど、シードとかいう奴の屋敷とか別荘地周辺にしか降らせてないでしょ? 他への被害は最小限になっているはずだよ?」

「それはそうかもしれないけれど……」


 シード様だけに被害がいくならともかくとして、彼の使用人にまで被害がいっていることは間違いない。流石に親友が私のためにしてくれていることでも、その部分を容認するのは難しかった。

「シード様への嵐を止めることはできないの?」

「いつでも出来るよ。でも、シードがリーザにしっかりと謝罪しない限りは止めるつもりはないかな~~」

「クリファ……」

「ワフッ」

 シロウは軽く鳴いているけれど、クリファの味方をしているようだった。シロウも狼だし、人間への関心は薄いだろうしね。私のことを大切に想ってくれているのは嬉しいんだけど……どうしようか。


「あれ? 世界樹の森に近づいて来る団体がいるみたいだね。これは……シード達の軍勢かな?」

「え、ええ……?」

 クリファは焦っている様子を見せていないけれど、大地の精霊らしく遠方の気配を感じ取ったようだ。シード様が兵士を引き連れて来ているのだとしたら……マズイことになるんじゃ?

「リーザは心配しなくても大丈夫だよ。戦いになったとしても、私が負けるはずないじゃない。天候操作で一発だし」

「確かにそうなんだろうけど……」

 軍団は悪天候や地盤沈下に極端に弱い。クリファは空も飛べるし姿も消せるしで、どう考えても負けるわけがないけれど。そもそも、心臓を刺されたからって死なないらしいし。

 ただ、シード様と物理的な争いになるのは非常にマズい気がする……なんとかしないといけないわね。
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