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8話 波乱 その2
しおりを挟むシード・ゼクセン公爵令息視点……。
「どういうことだ……? 最近、天候がおかしくないか?」
「そうですね……おかしいかと思います」
使用人も天候のおかしさを感じているようだった。最近は快晴の予報のはずが、急に崩れることが多いのだ。天候が急に変化するのは不思議ではないが、気のせいか私の領地に集中している気がする。
しかも、同じ領地内でも天候の良いところもあるらしい。自然現象でそんなことが起こりえるのか?
「シード様、ゼクセン公爵領でも特定の地域に集中豪雨が続いているようです」
「やはりそうか……」
にわかには信じられないが、私の領地でも特定の地域に豪雨が集中していた。我が家系は鉄道敷設や鉱山事業、交通路の整備もしているがその辺りに豪雨はないようなのだ。明らかにおかしい……。
「豪雨が集中しているのは、我が屋敷周辺と別荘地などだったな?」
「そ、その通りでございます……!」
どういうことだ……!? こんなピンポイントで豪雨が続くなどあり得るのか? なぜ鉄道敷設の場所や鉱山、交通路には豪雨がないのだ!? 立地的にもその辺りに嵐が来てもおかしくないのだが……。
「天変地異と言えば良いのでしょうか……とても信じられないことが起こっているようです」
「ぬう……すぐに魔法力に優れた占い師を呼ぶのだ! その者に原因を究明して貰おう!」
「か、畏まりました! すぐに手配いたします!」
「頼むぞ!」
くそ……ゼクセン公爵家の次期当主としてあり得ない失態だ。これ以上、父上の不信を買うわけにはいかないのだが……弟たちの蠢動(しゅんどう)を許すことになるかもしれん。それだけは何としても避けなければ……!
---------------------
「ふんふんふ~~~ん!」
「クリファはなんだか上機嫌ね」
「確かにそうだな」
「えへへ~~! それはね~~~!」
お弁当を食べ終えた私達だけれど、クリファはその後も上機嫌だった。アスタルのお弁当の味とは関係ないようだけれど、何か上機嫌になる理由があるのかしら?
「ワフ」
「シロウ、お~~う、よしよし」
「くぅ~~ん」
ああ……シロウはとても可愛いわ。この甘えたしぐさだけで癒されてしまう。シロウも生きている年齢で言えば、私やアスタルを遥かに超えているらしいけど、この可愛さは反則ね。クリファも可愛いけれど、シロウはそれとは別の魅力がある。
「う……羨ましいな」
「えっ? アスタル?」
「い、いや……何でもない」
急にアスタルは視線を逸らした。何か言ったような気がするけれど気のせいだったかしら?
「んふふ~~! アスタル~~~素直じゃないよね~~~!」
「な、何を言っているのかな……あははははっ!」
「……?」
クリファはアスタルを小馬鹿にしているようだけど、アスタルの焦った態度が気になった。今の会話で彼が焦るところはなかったと思うけれど……?
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