婚約破棄により婚約者の薬のルートは途絶えました

マルローネ

文字の大きさ
上 下
18 / 19

18話 婚約 その1

しおりを挟む
「ラターザ様に婚約を言われたかしら? それとも、告白を受けたの?」

「よくご存じですね……姉さま」

「貴方達の様子を見ていれば、大体は分かるわ。そう……ブラック家の次男からの告白を受けたのね」

「はい……」


 アレク様以上の地位に立っているラターザ様……私は返事を先延ばしにしてしまったけれど、本当に良かったのだろうかという懸念がある。

「私は……どうしたら良いのでしょうか……」

「こういう場合はあなたの気持ちが一番大事ね。ラターザ様もあなたのことを本気で好きになっているようだし」


 よく食べる子のレッテルを貼られてしまったけれど……あれはラターザ様の冗談だったのかな?


「ラターザ様はブラック家の当主にはおそらくはならないわ。不慮の事故などが起これば別だけれど。そう考えれば、将来をそう悲観することはないわよ?」

「あ、ありがとうございます。姉さま……」


 公爵家であるラターザ様……長男ではないので、将来的にはどこかの土地の管理を任せられる立場にはなるだろう。公爵家はお兄様が引き継ぐだろうから。

 それでも、巷では時期が違えば、国王陛下になっていたかもしれないと言われているお方だ。そんなお方と私が付き合うなんて……現国王陛下は許してくれるのだろうか? それに周りの貴族達も驚くだろうし……私はその渦中に立たされるわけだ。誹謗中傷などもあるかもしれない……アレク様との強制婚約破棄を経験した身としては、やや臆病になっていた。

「別に期限を決めたわけではないのでしょう?」

「はい、それはそうです」

「なら、ゆっくりと考えれば良いわ。早急に決めてしまっては、後悔することになるかもしれないからね」

「そうですね、分かりました。じっくりと考えたいと思います」

「ええ、その意気よ」


 そうだ、別に答えを急ぐ必要はない。ラターザ様の薬品工場で働きつつ、ラターザ様との仲をさらに進展させてからでも問題はないはずだ。ラターザ様なら待ってくれると思うし……要は発想の転換が重要ね。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

完結)余りもの同士、仲よくしましょう

オリハルコン陸
恋愛
婚約者に振られた。 「運命の人」に出会ってしまったのだと。 正式な書状により婚約は解消された…。 婚約者に振られた女が、同じく婚約者に振られた男と婚約して幸せになるお話。 ◇ ◇ ◇ (ほとんど本編に出てこない)登場人物名 ミシュリア(ミシュ): 主人公 ジェイソン・オーキッド(ジェイ): 主人公の新しい婚約者

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

ヒロインは辞退したいと思います。

三谷朱花
恋愛
リヴィアはソニエール男爵の庶子だった。15歳からファルギエール学園に入学し、第二王子のマクシム様との交流が始まり、そして、マクシム様の婚約者であるアンリエット様からいじめを受けるようになった……。 「あれ?アンリエット様の言ってることってまともじゃない?あれ?……どうして私、『ファルギエール学園の恋と魔法の花』のヒロインに転生してるんだっけ?」 前世の記憶を取り戻したリヴィアが、脱ヒロインを目指して四苦八苦する物語。 ※アルファポリスのみの公開です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ
恋愛
 楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。  でも。  愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

婚約破棄令嬢ですが、公爵様が溺愛してくださいます!

安奈
恋愛
ファリーナ・オルスト伯爵令嬢は、同じく伯爵令息のザイル・マクレガーに婚約破棄をされてしまう。 「お前は前髪をいつも垂らしている為、不気味だ。私の妻にはふさわしくない」 気弱なファリーナは目を髪で隠す癖があり、それを指摘されての婚約破棄となってしまった。 それにしても一方的過ぎる婚約破棄にファリーナは強い悲しみを覚えた。 「気にすることはないぞ、オルスト嬢よ。外見でしか判断しないのは貴族として失格だ。君の誠実さはいつも見てきた、よろしければ私と付き合ってくれないか?」 なんと求婚してきたのは若き公爵、ハンニバル・ライジングではないか。そして、彼女はハンニバルの気持ちに応えるべく前髪を上げる決意を示す。そこには……信じられない美少女が立っていた。

処理中です...