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2話 報告 その1
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「ええ~~! 婚約破棄!?」
「ええ、そういうことね……」
お父様、お母様が不在の中、私は妹のシリカと話をしていた。内容は当然、先ほど強制的に行われた婚約破棄についてだ。執事長のマイケルも隣に立っている。
「エリザお嬢様……心中お察しいたします。痛恨の極みでございましょう」
「ええ……そんなところね……」
表立って弱音を吐くのは何時以来だろうか? 最近はフリック様の婚約者として張り詰めた緊張感の中を生きていたから特に記憶にないわ。そんな私の顔をシリカも心配そうに眺めている。
「大丈夫? 姉さん……顔色が悪いけれど……」
「大丈夫よ、シリカ。心配かけてごめんなさい」
「ううん、それは良いんだけれど。まさか、あのフリック王子殿下がそんな身勝手な婚約破棄をするなんてね。本当に驚きだわ。信じられない……」
「私も嘘であって欲しいのだけれど……事実なの」
まだ、何時間も経っていない婚約破棄だ。私はその時の状況を鮮明に覚えていた。フリック様とシャーリー嬢の高笑いが頭にこびりついて離れない。非常に困っている……どうしたらいいのか。
「しかし……私には信じられません。エリザお嬢様ほどの逸材をフリック王子殿下が手放されるとは。あの方は相当にエリザお嬢様に助けてもらっていたはずですので」
「そうよね、私もそこが信じられない」
マイケルもシリカも私以上に難しい顔をして唸っているようだった。嬉しいけれど、フリック様からの言葉を聞いた後では過剰評価に見えてしまう。
「ありがとう二人とも。とても嬉しい言葉だわ。でも……フリック様の評価は全然違うものだったの……私はどうやら、調子に乗っているだけだったみたい」
「えっ、どういうこと……?」
「どういうことでございますか? 差し支えなければお教えいただけますでしょうか?」
「えっ……?」
二人の反応が新鮮というかなんというか。どういうことだろう? 本当に意味が分かっていないようだった。お世辞でも何でもないような。確かに私は自分の行ってきたサポートに対して自信はあったけれど……その評価について、あまり聞いたことはなかったわね。
「ええと……実は、フリック様からは私のしてきた色々なサポートは誰でも出来るレベルらしくて。それから、フリック様一人でも可能なことと、シャーリー嬢がサポートもするので余計に簡単だと言われたわ」
「……」
私の言葉に対して、マイケルとシリカの二人は呆けた顔を見せていた。どういう感情を持っているのか分からない。
「ええと、マイケルさん。これは笑っていいところなのかな? ていうか、笑っていいところよね?」
「そうですね、シリカお嬢様。この際、思い切り爆笑するというのも良いかもしれません」
「あはははははははっ!」
シリカは素直に大爆笑していた。なんなのこの二人は……私は婚約破棄の悲しみに暮れているのに。でも、自然と元気を貰っているけれど。変に暗い雰囲気になっていないから、逆に良いことなのかもしれないけれど……なんだか不思議な気分になっていた。
「笑ってないで、いい加減教えてくれないかしら? どういうことなの、シリカ?」
「あははははは……!! ご、ごめん姉さん。いやぁ、本当に面白いわ。まさか、姉さんのサポートが誰でもこなせるなんて世迷言を言うなんてね。国家の第三王子様が」
「まったくでございますね。誰が先を見通せていないのか……フリック王子殿下は後々、後悔することになりましょう」
「ええと、つまり……?」
「つまり、姉さんの今まで行ってきた仕事は、お世辞抜きにしても十分に凄いってこと! なんでそんなことも分かっていないのよ、姉さん!」
シリカは真剣な表情で私を諭すようにハッキリと言った。決して自己評価が低かったわけではないけれど……やっぱり、私のサポート能力は凄かったみたいね。二人の会話を聞いて改めて分かった気がした。
シリカとマイケルの二人には感謝しないといけないわね。ありがとう、と。
「ええ、そういうことね……」
お父様、お母様が不在の中、私は妹のシリカと話をしていた。内容は当然、先ほど強制的に行われた婚約破棄についてだ。執事長のマイケルも隣に立っている。
「エリザお嬢様……心中お察しいたします。痛恨の極みでございましょう」
「ええ……そんなところね……」
表立って弱音を吐くのは何時以来だろうか? 最近はフリック様の婚約者として張り詰めた緊張感の中を生きていたから特に記憶にないわ。そんな私の顔をシリカも心配そうに眺めている。
「大丈夫? 姉さん……顔色が悪いけれど……」
「大丈夫よ、シリカ。心配かけてごめんなさい」
「ううん、それは良いんだけれど。まさか、あのフリック王子殿下がそんな身勝手な婚約破棄をするなんてね。本当に驚きだわ。信じられない……」
「私も嘘であって欲しいのだけれど……事実なの」
まだ、何時間も経っていない婚約破棄だ。私はその時の状況を鮮明に覚えていた。フリック様とシャーリー嬢の高笑いが頭にこびりついて離れない。非常に困っている……どうしたらいいのか。
「しかし……私には信じられません。エリザお嬢様ほどの逸材をフリック王子殿下が手放されるとは。あの方は相当にエリザお嬢様に助けてもらっていたはずですので」
「そうよね、私もそこが信じられない」
マイケルもシリカも私以上に難しい顔をして唸っているようだった。嬉しいけれど、フリック様からの言葉を聞いた後では過剰評価に見えてしまう。
「ありがとう二人とも。とても嬉しい言葉だわ。でも……フリック様の評価は全然違うものだったの……私はどうやら、調子に乗っているだけだったみたい」
「えっ、どういうこと……?」
「どういうことでございますか? 差し支えなければお教えいただけますでしょうか?」
「えっ……?」
二人の反応が新鮮というかなんというか。どういうことだろう? 本当に意味が分かっていないようだった。お世辞でも何でもないような。確かに私は自分の行ってきたサポートに対して自信はあったけれど……その評価について、あまり聞いたことはなかったわね。
「ええと……実は、フリック様からは私のしてきた色々なサポートは誰でも出来るレベルらしくて。それから、フリック様一人でも可能なことと、シャーリー嬢がサポートもするので余計に簡単だと言われたわ」
「……」
私の言葉に対して、マイケルとシリカの二人は呆けた顔を見せていた。どういう感情を持っているのか分からない。
「ええと、マイケルさん。これは笑っていいところなのかな? ていうか、笑っていいところよね?」
「そうですね、シリカお嬢様。この際、思い切り爆笑するというのも良いかもしれません」
「あはははははははっ!」
シリカは素直に大爆笑していた。なんなのこの二人は……私は婚約破棄の悲しみに暮れているのに。でも、自然と元気を貰っているけれど。変に暗い雰囲気になっていないから、逆に良いことなのかもしれないけれど……なんだか不思議な気分になっていた。
「笑ってないで、いい加減教えてくれないかしら? どういうことなの、シリカ?」
「あははははは……!! ご、ごめん姉さん。いやぁ、本当に面白いわ。まさか、姉さんのサポートが誰でもこなせるなんて世迷言を言うなんてね。国家の第三王子様が」
「まったくでございますね。誰が先を見通せていないのか……フリック王子殿下は後々、後悔することになりましょう」
「ええと、つまり……?」
「つまり、姉さんの今まで行ってきた仕事は、お世辞抜きにしても十分に凄いってこと! なんでそんなことも分かっていないのよ、姉さん!」
シリカは真剣な表情で私を諭すようにハッキリと言った。決して自己評価が低かったわけではないけれど……やっぱり、私のサポート能力は凄かったみたいね。二人の会話を聞いて改めて分かった気がした。
シリカとマイケルの二人には感謝しないといけないわね。ありがとう、と。
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