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11話
しおりを挟む「一体、どういうことなのですか……? 王子殿下」
「エグゼ殿はウィング殿に騙されているのですよ。テレサ嬢が傲慢で金遣いが荒いなど言われているのでしょうが、実際に金遣いが荒いのは現在の彼女……浮気相手のレイチェル嬢になります。テレサ嬢は関係ありません」
「なっ……バカな! そんなことが……!」
1週間の準備期間でわかったことだった。ウィングの現在の彼女がアラート家の財産を接収しているようなものだったのだ。
「ウィング! どういうことだ!? 王子殿下が言ったことは本当なのか? 真実を話すのだ!」
「ち、父上……それは……!」
ウィングとしても何も言えなくなっていた。まあ、父親を騙して好き勝手していたんだから当然だけれど。でも、どこにも逃げ場はない。彼の味方だって誰もいないんだから。
「私達の前で嘘を吐くということがどういうことか……わかっていますね?」
「嘘なんて吐きやがったら、ただじゃおかねぇ」
ハリア王子とレックス王子も本気な様子だった。ウィング自らに吐露させる……う~ん、なかなかに凄いことだわ。
「うう……王子殿下が言ったことは本当です。テレサ嬢への噂は全て嘘です……私が流していました……」
「な、なんと……そんなことが……!」
父親であるエグゼが裏切られた瞬間だった。まあ、自業自得でもあるけれど。
「ウィングお前は……なんてことをしてくれたんだ! こんな大それたことを……!」
「ち、父上……申し訳ありません!」
「謝って済む問題か! お前はアラート家の恥晒しだ!」
エグゼは随分と怒っているようだった。でも、順番が違う気がするわね。
「エグゼ殿、怒っているところすみませんが……まずはテレサ嬢に謝るのが筋ではないですか? ウィング殿も含めてね」
「あ……これは申し訳ありませんでした! テレサ嬢!」
「も、申し訳ありません……」
エグゼとウィングの二人が同時に謝った……とても信じられないことだ。これがハリア王子とレックス王子の力といったところか。
「謝罪は受け入れます。あとは慰謝料と譲り渡した事業の返還をお願いしますね」
「も、もちろんですとも! 早急に準備いたします!」
「おねがいしますね、本当に」
「は、はい!」
私への謝罪よりも事業の確保が最優先だった。この雰囲気ならば何事もなく戻って来そうだわ。安心ね。
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