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4話
しおりを挟む「テレサ……エグゼとの会談は終わらせたのだが……」
「は、はい。それでどうなったのですか?」
「非常に言いにくいことなんだが……実は」
お父様から聞いた言葉は衝撃的なものだった。
「婚約破棄の原因は私のわがまま!? そんなはずありません! ウィングははっきりと言ったんです、レイチェルと一緒になるから私とは婚約破棄だと。浪費が酷いなど一度も言われたことはありません!」
そもそも、私はウィングに奢ってもらったことはなかった。レストランで食事をしても自分の分は出していたのだから。浪費がすごいなど、どこから生まれた言葉なのだろうか……信じられない。
「済まない、テレサ。私はもちろん信じているが、エグゼの方も息子を信じると言って一切引かないのだ。事実、エグゼの屋敷からは使途不明の浪費があるのは事実なようだからな」
「それが私だと言いたいのですか?」
「そういうことではない。私はお前を信じているさ。しかし、このままでは水掛け論になってしまう。物事が平行線のまま進まないということだ」
「それってもしかして……」
お父様はしばらくの間、無言になってしまった。しかし、すぐに口を開いた。
「このままではミリオン家が譲渡した事業については戻ってこないということだ」
「そ、そんな……!」
「これからはアラート家が主導でやっていくことになるだろう。相手は侯爵家……申し立てをするのは難しいかもしれない」
心配していたことが的中したようだった。どうして非のない私達が損害を負わなければならないのだろうか? そんなことあっていいはずがない。
「私は何もしていません、お父様! 本当なんです……ウィングが勝手に婚約破棄だと言っただけで……それだけなのに。こんなことって……」
「今は少し様子を見るしかないな。私もこのままで終わらせる気はない。あの事業が戻ってこなければ、相当な損害になってしまうからな」
アラート家との関係が途絶えるだけではなく、事業まで戻ってこない。これは相当な損害になるのは間違いなかった。それだけでミリオン家が没落してしまうことはないだろうけれど。でも、ここまで大きくしてくれたご先祖様にも申し訳が立たない。お父様だってそれは痛感しているだろう。
お父様との話はそこで終了となった。今、慌てて動いても何もできないという結論だ。少し様子を見る必要が出て来た。しかし、事態は悪化の一途を辿ることになる。どういうわけか、私の悪い噂が貴族の間で流れ始めたのだ……。
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