婚約破棄され、超絶位の高い人達に求婚された件

マルローネ

文字の大きさ
上 下
2 / 12

2話

しおりを挟む
「すみません、お父様。私の失態でした……」

「何を言っている、テレサ。お前は婚約破棄の被害者でしかない。責任を感じる必要などないさ」


 ミリオン伯爵家に戻った私はお父様に事の経緯を説明していた。アラート侯爵家の御曹司であるウィングの非道な行為を全て話した。お父様は私を責めることはなかった。とてもありがたかったけれど、余計に心配を掛けてしまったかもしれないわね。


「ウィングは譲り受けた利益を返すつもりはないと言っていました。そんなこと許されないと思うのですが……」

「確かにな。レジャーランドの建設譲渡を初め、幾つかの事業の譲渡をしたが、それらはあくまでウィングとテレサが結婚することが前提の上での契約だったはずだ。婚約破棄になった場合はその限りではない。契約は無効になるはずだ」

「そ、そうですよね……」


 私の考えに間違いはなかったようね。お父様もはっきりと無効だと言ってくれたのだし。婚約破棄自体は書面で行うみたいだけれど、その時にこちらから契約無効であることを伝えられるはず。

「アラート家の現当主であるエグゼ様は何を考えているのか。息子であるウィングと同じ立場なのだとしたら、大きな事件になるぞ」

「そうですよね……お父様」

「うむ。仮にも上位貴族であるアラート家がそんな無慈悲なことをしたなんてバレたら、貴族の中でも大きな衝撃が走るだろうな」

 私はお父様の言葉に少し安心していた。このままなら、婚約破棄が成立してしまっても、なんとかなりそうだったからだ。婚約破棄はしたくないと考えていたけれど、ウィングの態度を見てしまった以上、もう一度戻りたいとは考えられなかった。

「テレサは婚約破棄が成立しても大丈夫か?」

「あのウィングの元に戻りたいとは思いませんので……それでも構いません。アラート家がしっかりと責任を負うというのなら……」

「うむ、そうか。よくわかったよ。近い内に私はエグゼ様と会うことにしよう。その時に彼の本心を聞いてみる」

「わかりました、お父様。ありがとうございます」

「うむ……全く信じられない事態だな。まさかこのようなことが起こるとは……」


 近々、お父様はエグゼ様と会うようだ。そこではっきりするだろうか。なにはともあれ、婚約破棄が成立してもミリオン家の被害がないことが先決だ。契約の無効やウィングの勝手な行為の責任を追及する必要がある。ウィングは慰謝料を支払うとは言っていたけれど、それだけでは到底許せるものではなかった。

 最低でも追加の慰謝料請求はしなくちゃね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

王妃も王子妃もお断りします!

アムール
恋愛
気付いたら、超お嬢様に転生していた私。 王家の王子たちとは、はとこの関係でお父様と陛下が大親友だから生まれる前から私と一番年の近い王子と婚約することが決まっていた!? 第一王子とも第二王子とも1歳差。 お父様は私が好きな方と婚約していいと言ってるけど、私の答えは決まってる。 「どっちも嫌です!」 王子と結婚なんて、責任が重そうで嫌だよ〜。 王子妃修行?やだ、大変そう。 私の将来の夢は、商人とでも結婚して自由に 楽しく生きること。 あの、だから王子様。 そんな私にアプローチされても困るんです。 本当に困るんですってば〜。 え?ここが乙女ゲームの世界? 前世の記憶はあるけど、乙女ゲームなんてやってなかったから、分かりません。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 不定期更新 タイトル少し変えました。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

大魔法使いの娘ですが、王子からの婚約破棄は気にせず、この力をもって幸せに生きていきます。

四季
恋愛
一見栗色の髪を生まれ持った十八歳の平凡な娘でしかない私――ガーベラには、実は秘密がある。

少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。

ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。 なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。 妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。 しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。 この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。 *小説家になろう様からの転載です。

【完結】婚約破棄されたので国を滅ぼします

雪井しい
恋愛
「エスメラルダ・ログネンコ。お前との婚約破棄を破棄させてもらう」王太子アルノーは公衆の面前で公爵家令嬢であるエスメラルダとの婚約を破棄することと、彼女の今までの悪行を糾弾した。エスメラルダとの婚約破棄によってこの国が滅ぶということをしらないまま。 【全3話完結しました】 ※カクヨムでも公開中

婚約破棄された私の結婚相手は殿下限定!?

satomi
恋愛
私は公爵家の末っ子です。お兄様にもお姉さまにも可愛がられて育ちました。我儘っこじゃありません! ある日、いきなり「真実の愛を見つけた」と婚約破棄されました。 憤慨したのが、お兄様とお姉さまです。 お兄様は今にも突撃しそうだったし、お姉さまは家門を潰そうと画策しているようです。 しかし、2人の議論は私の結婚相手に!お兄様はイケメンなので、イケメンを見て育った私は、かなりのメンクイです。 お姉さまはすごく賢くそのように賢い人でないと私は魅力を感じません。 婚約破棄されても痛くもかゆくもなかったのです。イケメンでもなければ、かしこくもなかったから。 そんなお兄様とお姉さまが導き出した私の結婚相手が殿下。 いきなりビックネーム過ぎませんか?

【完結】断罪イベントの真っ最中ですが後方彼氏面している王子様が気になってそれどころじゃない。

逢坂莉未
恋愛
レーナは卒業式のパーティで婚約者に婚約破棄を宣言されるが、その最中に後ろの方で第二王子が腕組をして何やら独り言をつぶやいていることに気づいてしまった。その独り言が気なってしまい冤罪の弁明どころじゃなくなってしまう。  誰かこの状況を何とかしてください! ※本編は完結してますが、王子視点を後日、投稿したいと思っています。 ※小説家になろうにも同時投稿しています。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

処理中です...