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8話 国王 その1
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「これはアイル・グラボイド王子殿下。ご無沙汰しております」
「ゼラニス国王陛下こそ、お元気そうで何よりです」
「ありがとうございます。まだまだ、若い連中には負けませんよ」
「はは、それは非常に頼もしいですね」
私はアイル様と共にゼラニス・ハインツ国王陛下に謁見していた。アイル様は宗主国の第一王子になるので、事実上はゼラニス様と対等以上ではあるけれど。私としてはこんなにも簡単に国王陛下に謁見できることが信じられなかった。
アイル様の権力を持ってすれば当然なのかもしれないけれど、リンシャンテ伯爵家の権力ではゼラニス様に謁見出来るのは予約待ちになるだろうからね。つまりは何週間も待たされる可能性があるということだ。
「さて、アイル様。本題に入っても宜しいでしょうか?」
「はい、ゼラニス国王陛下。是非ともお願い致します」
「それでは遠慮なく。そちらに居るセルフィ嬢の父親である、エンリケ・リンシャンテ伯爵から事情は聞いております。アイル様は妹君であるセルフィ嬢の無念を晴らしたいということで宜しいのですかな?」
「そういうことですね。セルフィは私の血を分けた妹になります。その妹に対して単に婚約解消に至っただけならともかく、理不尽な婚約破棄となれば話は別でしょう」
「確かにアイル様のおっしゃる通りですな。セルフィ嬢は元を辿れば宗主国であるグラボイド家の王家に連なる人物ですからな。わかりました、婚約破棄を言い渡した張本人であるダルク・ハウーム侯爵令息には相応の罰を与えるとしましょう。それで許していただけますでしょうか?」
ゼラニス国王陛下は驚くほどに下手に出ていた。これが、宗主国と従属国との重鎮同士の権力差と言えるのだろうか。私は改めてそれを思い知ることになった。
私もグラボイド王国の王家の人間なのだから、ゼラニス国王陛下にこのような態度を取らせることが出来る? 少し信じられないことだけれど……。
「ゼラニス国王陛下のご提案は非常に嬉しく思います。ですが私は一度、ダルク・ハウーム侯爵令息に会いたいと思っているのですが……この希望は了承して頂けますでしょうか?」
「ええ、勿論でございます。日を改めて私も同行いたしますので、ハウーム侯爵家へ向かうとしましょうか」
「はい、それが良いですね。私の我が儘を聞いて頂き、ありがとうございます」
「いえ、とんでもないことでございます」
話は上手く纏まったみたいだけれど、アイル様とゼラニス国王陛下がダルク様の屋敷に向かうことで一致したみたいね……これはとんでもないことになりそうだわ。
「ゼラニス国王陛下こそ、お元気そうで何よりです」
「ありがとうございます。まだまだ、若い連中には負けませんよ」
「はは、それは非常に頼もしいですね」
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アイル様の権力を持ってすれば当然なのかもしれないけれど、リンシャンテ伯爵家の権力ではゼラニス様に謁見出来るのは予約待ちになるだろうからね。つまりは何週間も待たされる可能性があるということだ。
「さて、アイル様。本題に入っても宜しいでしょうか?」
「はい、ゼラニス国王陛下。是非ともお願い致します」
「それでは遠慮なく。そちらに居るセルフィ嬢の父親である、エンリケ・リンシャンテ伯爵から事情は聞いております。アイル様は妹君であるセルフィ嬢の無念を晴らしたいということで宜しいのですかな?」
「そういうことですね。セルフィは私の血を分けた妹になります。その妹に対して単に婚約解消に至っただけならともかく、理不尽な婚約破棄となれば話は別でしょう」
「確かにアイル様のおっしゃる通りですな。セルフィ嬢は元を辿れば宗主国であるグラボイド家の王家に連なる人物ですからな。わかりました、婚約破棄を言い渡した張本人であるダルク・ハウーム侯爵令息には相応の罰を与えるとしましょう。それで許していただけますでしょうか?」
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私もグラボイド王国の王家の人間なのだから、ゼラニス国王陛下にこのような態度を取らせることが出来る? 少し信じられないことだけれど……。
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「ええ、勿論でございます。日を改めて私も同行いたしますので、ハウーム侯爵家へ向かうとしましょうか」
「はい、それが良いですね。私の我が儘を聞いて頂き、ありがとうございます」
「いえ、とんでもないことでございます」
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