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7話 応接室での会話 その3
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お父様とお母様が屋敷に戻って来たのは、それからしばらくしてのことだった。
「申し訳ありませんでした、アイル様。大変お待たせしてしまいまして……」
「本当に申し訳ございません……アイル様」
「いや、大丈夫ですよ、エンリケ殿、サーシャ夫人。気にしないでください。どうやら入れ違いになってしまったようですね」
「そのようですね……」
お父様もお母様もアイル様に謝罪していた。宗主国の王子様を待たせてしまったのだから、仕方ないことだけれど。ただ、アイル様は特に気にしている様子はないわね。
「アイル様。我が娘に真実は話していらっしゃるのでしょうか?」
「はい、エンリケ殿。既にセルフィには真実を話しています。マズかったでしょうか?」
「いえ、決してそのようなことは! むしろ、アイル様からお話していただき感謝しております」
「そうでしたか。それなら安心です」
お父様とお母様は私に一瞬視線を送ったが、特に何も話すことはなかった。私の反応を見ていたのかしら?
「それでは早速、本題に入ってもよろしいでしょうか? ダルク・ハウーム侯爵令息の件ですが……」
「ダルク様の件ですね。畏まりました、アイル様。それでは話を進めましょうか!」
「ええ、そうしましょうか」
お父様は先ほどから言葉がおかしい気がする。妙なテンションになっているというか。おそらくはアイル様を前に緊張していると思うのだけれど。なんだかそこがおかしかった。
-----------------------
「ダルク殿は随分と危険な橋を渡ったようですね。よりにもよって、セルフィに対して婚約破棄を行うとは。それも身勝手な理由で」
「そうなりますね……」
「さらに調べたところでは、アリーザ・ナイトレイ侯爵令嬢と浮気をしているらしいからな」
「そういえばダルク様はアリーザというグラボイド王国の令嬢と付き合うと言っていました」
私達はその後、アイル様と婚約破棄の件について再確認を行っていた。アイル様はダルク様の浮気相手の情報まで仕入れているのね。ここまでされていると、ダルク様の包囲網は万全と言えるかもしれない。決して逃げることはできないだろう。
「まずはハインツ王国の国王陛下に今回の件を話してみましょうか。私が直接、ダルク殿を罰するというのは、法律的に微妙な面もあるでしょうからね」
「畏まりました、アイル様。すぐにそのように手配致しましょう」
お父様達もやる気になっていた。しかしまさか、我が国の国王陛下まで巻き込めるとは……アイル様の権力の高さが改めて分かる構図になっているわね。
「申し訳ありませんでした、アイル様。大変お待たせしてしまいまして……」
「本当に申し訳ございません……アイル様」
「いや、大丈夫ですよ、エンリケ殿、サーシャ夫人。気にしないでください。どうやら入れ違いになってしまったようですね」
「そのようですね……」
お父様もお母様もアイル様に謝罪していた。宗主国の王子様を待たせてしまったのだから、仕方ないことだけれど。ただ、アイル様は特に気にしている様子はないわね。
「アイル様。我が娘に真実は話していらっしゃるのでしょうか?」
「はい、エンリケ殿。既にセルフィには真実を話しています。マズかったでしょうか?」
「いえ、決してそのようなことは! むしろ、アイル様からお話していただき感謝しております」
「そうでしたか。それなら安心です」
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「それでは早速、本題に入ってもよろしいでしょうか? ダルク・ハウーム侯爵令息の件ですが……」
「ダルク様の件ですね。畏まりました、アイル様。それでは話を進めましょうか!」
「ええ、そうしましょうか」
お父様は先ほどから言葉がおかしい気がする。妙なテンションになっているというか。おそらくはアイル様を前に緊張していると思うのだけれど。なんだかそこがおかしかった。
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「ダルク殿は随分と危険な橋を渡ったようですね。よりにもよって、セルフィに対して婚約破棄を行うとは。それも身勝手な理由で」
「そうなりますね……」
「さらに調べたところでは、アリーザ・ナイトレイ侯爵令嬢と浮気をしているらしいからな」
「そういえばダルク様はアリーザというグラボイド王国の令嬢と付き合うと言っていました」
私達はその後、アイル様と婚約破棄の件について再確認を行っていた。アイル様はダルク様の浮気相手の情報まで仕入れているのね。ここまでされていると、ダルク様の包囲網は万全と言えるかもしれない。決して逃げることはできないだろう。
「まずはハインツ王国の国王陛下に今回の件を話してみましょうか。私が直接、ダルク殿を罰するというのは、法律的に微妙な面もあるでしょうからね」
「畏まりました、アイル様。すぐにそのように手配致しましょう」
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