婚約破棄されたけど、どうやら私は隣国の最強国家の王家の血筋だったようです

マルローネ

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6話 応接室での会話 その2

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 信じられない事というのは連発する時もあるだろうけど、今回はまさにその連発に該当していた。

 ダルク様からの婚約破棄の時点で既に信じられないことが起こったというのに……。

「あ、あの……アイル様」

「なんだ? セルフィ?」


 呼び捨てにされているのがなんだか不思議だった。とても優しい口調は相変わらずだけれど、このお方が私の実の兄……?

「私がアイル様の妹というのはどういうことなのでしょうか? なぜ、リンシャンテ家の娘である私が……」

「君は物心が付くか付かないかと言う年齢の時に、属国であるこのハインツ王国に預けられたんだよ」

「預けられた? ということはそれまで私は、グラボイド王国に居たということですか?」

「もちろんだ。君の本当の名前はセルフィ・グラボイド。王位継承権も持っている第一王女ということになるな」


 予想はしていたけれど、話に付いて行くことが出来ない……私が第一王女だなんて。何かの間違いではないだろうか。それも宗主国であるグラボイド王国の……。

「すぐに理解することは出来ないだろうが、まあ、頭の片隅にでも今は留めておいてくれれば問題ないさ」

「は、はい……わかりました、アイル様」

 まだまだ、アイル様をお兄様として見ることは出来なかった。主に恐れ多いと言う意味で。ただ、言われてみると私と顔が似ているような気がする。目つきとかが特に。そっか……私はアイル様の妹なんだ。


「そういえば、本題の件を忘れていたな」

「本題ですか?」


 そういえばアイル様が家に来られた理由を聞いていなかったわね。それ以上の事実を聞かされたばかりだから、すっかり忘れていたわ。

「アイル様は本日、どういったご用件で来られたのでしょうか?」

「ああ、詳しくはエンリケ殿とサーシャ殿が戻って来てからにしようかと思っていたが、本題はダルク・ハウーム侯爵令息との婚約破棄のことだ」

「だ、ダルク様の件でしたか……」


 まさかの人物の名前が出て来て私は驚いてしまった。まさか、アイル様の耳にまで届いているとは……ああ、そういうことか。お父様とお母様がきっと伝えたようね。

「もう分かっているとは思うが、君は宗主国グラボイド王国の王家の人間だ。私の妹でもあり……それが、不誠実な婚約破棄に晒された。どういうことになるのか、よく分かるだろう?」

「そ、それは……そうですね……」

 ダルク様の首に死神の鎌が付きつけられたような……そんなイメージが湧いてしまった。実際のところはどうなるのか分からないけれど、タダでは済みそうにないわね。

 それからアイル様とは少し雑談を重ね、お父様とお母様が戻って来るまで場を繋いで過ごした。
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