婚約破棄されたけど、どうやら私は隣国の最強国家の王家の血筋だったようです

マルローネ

文字の大きさ
上 下
2 / 10

2話 リンシャンテ伯爵家

しおりを挟む
 私はリンシャンテ伯爵家に戻っていた。そこでお父様と話をしている。


「お父様……私は悔しくて仕方がありません……そして、申し訳ございませんでした」

「自分を責めるでない、セルフィ。お前は本当によくやっていたと思うよ」

「……ありがとうございます……」


 お父様は私の失態を責めることはせずに、逆に慰めてくれていた。リンシャンテ伯爵家として相応しい働きをしないといけなかったのに……情けないものだわ。


「ダルク様はなんという無慈悲なことを……信じられないな」

「はい、私も未だに信じられません」


 ダルク様の行為は本当に驚くべきことだった。お父様も腕を組んで唸っているようだ。侯爵令息の行いとしてあり得ないと思っているのだと思う。

 本当はあの方に敬称なんて付けたくはないのだけれど、まあ、そこは仕方ない。


「セルフィよ、とりあえずは自分の部屋に戻っていると良い。出掛けたくなれば、付き人を用意させよう」

「ありがとうございます、お父様」

「うむ、しっかりと休むようにな。私は少し用事を済ませる必要があるから、お前に付きっ切りは難しくなってしまうが……」


 どこかへ出かけるのだろうか? まあ、お父様は伯爵家の当主だし忙しい身ではあるのだけれど。今はとても外には出たくないけれど、いつでも出られるように手配してくれるのは嬉しい。最近は貴族街も物騒になっていると言うし、貴族令嬢が単独で出掛けることはめずらしいしね。

「ふむ……それにしても、ダルク様は大変なことをしてしまったな。よりにもよって、セルフィに婚約破棄をするとは……いやはや、怖い怖い」

「お父様……?」


 お父様の言っている言葉の意味が少し分かりづらかった。どういうことだろう。


「セルフィはこの国と隣国との関係性を知っているだろう?」

「は、はい……それはもちろん知っています」


 いきなりの話題の転換、私は少し呆けてしまっていた。お父様に質問されたので答えるけれど。


「ええと、隣国のグラボイド王国はハインツ王国の宗主国になっていますよね? 外交面などではハインツ王国は不利な立場と伺っていますが……」

「うむ。まあ、そういうことだな。このハインツ王国は従属国の1つということになるからな」


 隣国のグラボイド王国は複数の従属国を保有している。まさに最強国家と呼ばれる所以だった。


「大陸最強の国家とも呼ばれていますよね?」

「そうだな、まさしくグラボイドは最強の国家だ。いやはや……本当にダルク様は大変なことをしてしまったな」

「……?」


 やっぱりお父様の言葉は理解できなかった。今、グラボイド王国は関係ないと思うけれど……。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄のその先は

フジ
恋愛
好きで好きでたまらなかった人と婚約した。その人と釣り合うために勉強も社交界も頑張った。 でも、それももう限界。その人には私より大切な幼馴染がいるから。 ごめんなさい、一緒に湖にいこうって約束したのに。もうマリー様と3人で過ごすのは辛いの。 ごめんなさい、まだ貴方に借りた本が読めてないの。だってマリー様が好きだから貸してくれたのよね。 私はマリー様の友人以外で貴方に必要とされているのかしら? 貴方と会うときは必ずマリー様ともご一緒。マリー様は好きよ?でも、2人の時間はどこにあるの?それは我が儘って貴方は言うけど… もう疲れたわ。ごめんなさい。 完結しました ありがとうございます! ※番外編を少しずつ書いていきます。その人にまつわるエピソードなので長さが統一されていません。もし、この人の過去が気になる!というのがありましたら、感想にお書きください!なるべくその人の話を中心にかかせていただきます!

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

手放したくない理由

ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。 しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。 話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、 「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」 と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。 同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。 大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

あなたがわたしを本気で愛せない理由は知っていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。

ふまさ
恋愛
「……き、きみのこと、嫌いになったわけじゃないんだ」  オーブリーが申し訳なさそうに切り出すと、待ってましたと言わんばかりに、マルヴィナが言葉を繋ぎはじめた。 「オーブリー様は、決してミラベル様を嫌っているわけではありません。それだけは、誤解なきよう」  ミラベルが、当然のように頭に大量の疑問符を浮かべる。けれど、ミラベルが待ったをかける暇を与えず、オーブリーが勢いのまま、続ける。 「そう、そうなんだ。だから、きみとの婚約を解消する気はないし、結婚する意思は変わらない。ただ、その……」 「……婚約を解消? なにを言っているの?」 「いや、だから。婚約を解消する気はなくて……っ」  オーブリーは一呼吸置いてから、意を決したように、マルヴィナの肩を抱き寄せた。 「子爵令嬢のマルヴィナ嬢を、あ、愛人としてぼくの傍に置くことを許してほしい」  ミラベルが愕然としたように、目を見開く。なんの冗談。口にしたいのに、声が出なかった。

[完結]本当にバカね

シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。 この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。 貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。 入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。 私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。

婚約破棄だと言われたので喜んでいたら嘘だと言われました。冗談でしょ?

リオール
恋愛
いつも婚約者のそばには女性の影。私のことを放置する婚約者に用はない。 そう思っていたら婚約破棄だと言われました。 やったね!と喜んでたら嘘だと言われてしまった。冗談でしょ?

処理中です...