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12話

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「だかつまりあの小説は最後だけがいけなかったのよ。犯人が最後まで分からない推理小説には意味を感じないわ」

「は、はあ……なるほど、確かにそうかもしれませんね……」

「そうなのよ、だから……」


 シェリルに言い包められているルイズとシシリー様という構図だった。シェリルの悪い癖が思い切り出ていたのね……ルイズにとっては良い薬だったかもしれないけれど。


「やあ、ルイズ殿にシシリー嬢。妹と楽しく話しているようで何よりだよ」

「あ、クレス王子殿下! ちょうど良いところに……!」

「王子殿下、助かりましたわ!」

「なによ、助かったって……」


 シェリルはなんだか不満そうにしていたけれど、クレスが入って来たことで話すのを一旦止めた。流石にクレスが近くにいる時には悪い癖は出ないようね。成長しているんだと思う。


「ルイズ殿、シシリー嬢。せっかく、妹と話しているところを悪いんだが、紹介したい人物がいるんだ」

「紹介したい人物でございますか……?」

「ああ、その通りだよ。こちらの方さ」

「えっ……?」

「あっ……アルエ!?」

「ルイズ、久しぶりね」


 私は皮肉も交えて言った。ルイズもシシリー様も私が目の前に居たことには相当驚いているようだ。同時にクレスから紹介されたことで、その驚きは2倍くらいになっているようだけれど……。

 私はなんだか心の中が晴れて行くのを感じた。クレスは最初からこういう風に紹介する気がったのかしら? そうじゃないと二人を呼ぶ意味合いがないものね……。


「ど、どうしてアルエがこのパーティーに……?」

「あら、私がいたら駄目なのかしら」

「い、いや……決してそういうわけじゃないけれど……」


 予想以上にルイズは戸惑っているようだ。自分達が呼ばれたのが特別だと思っていただけに余計に驚いているんでしょうけれど。そういう考えに至っている時点で既に何かおかしいというか。


「彼女から話は聞いているよ、ルイズ殿。なんでも相当に酷いことをしたらしいな、君は」

「あ、いや! それは……クレス様……!」

「クレス様……あの、その……!」


 相当に狼狽え始めたルイズとシシリー嬢。反撃の時が始まった気分だわ。
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