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7話 ハンニバルとエリー ①
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私の店へと入って来た人物は二人……ええと、二人が入って来る前から声で想定はしていたけれど、ビンゴだった。
「ハンニバル……それから、エリー、だったっけ?」
私を追放した張本人のハンニバルと、その恋人のエリーが現れた。私は思わず身構えそうになっている。
「俺達のパーティを追放されてどうしてるかと思いきや……こんなところで働いてるのか? 外は墓地まであるじゃねぇかよ」
「あははは、負け犬ちゃんにはお似合いの場所なんじゃない?」
「ま、それもそうかもな。ふははははははっ!」
出会って早々に、私をネタに大笑いをし出す二人。……エリーのことは良く知らないけれど、ハンニバルってここまで性格悪かったかしら? 追放しただけでなく、私が新しく始めた薬屋にまで押しかけて来るなんて……。まあ、エリーも相当に性格は悪そうだから、ある意味お似合いのカップルと言えるのかもしれないけれど。
「……」
カイル王子殿下やその護衛の人達は帰るでもなく、そのまま静観していた。私のせいじゃないっていうのは伝わっていると思うけど、ハンニバルたちとの会話は思いっきり聞かれているわけだし……カイル様に聞かれているって思うと、恥ずかしくて穴があったら飛び込みたいくらいだわ……。
「ちょっと、あなたたち! いきなり入って来てエメラダを侮辱するなんて、許されることではありませんのよ!?」
アミルが我慢の限界に来たのか、お嬢様っぽい話し方でハンニバルたちに言った。……平民だけど。
アミルの言葉を聞いた二人の表情は怒りのそれへと変わっていった。
「あん? 誰だよお前は……ただの客ってわけでもなさそうだし」
「ホントね~~。あれ? なんか見たことあるわよ、ハンニバル」
「この女か? 話し方からして、どっかの金持ちのお嬢様ってところか?」
ハンニバルの予想にエリーは腹を抱えて笑い出した。なんだか、次に出て来る言葉が不穏だわ……。私は咄嗟に止めようとしたけれど遅かった。
「この女……確か、アミルよね? そっち系のお店で見たことあるわ。下着丸出しでポールダンスとか踊ってるのよ、確か」
「!!」
やっぱり、そういう話に移行したか……アミルはエリーに言われてワナワナと身体を震わせている。お前には言われたくないってところでしょうね。偶然とはいえ、王子殿下にも聞かれたわけだし。
「本当かよ?」
「ええ、間違いないわ」
「はしたない女だな……下半身はガバガバですかぁ~?」
「あんたら、いい加減にしなさいよ……!」
いまにも泣き出しそうなアミル。私は流石に我慢の限界を大きく越えてしまった。どうしてやろうかしら……とりあえず、エリーの顔面でも殴ることにする? なんてことを考えていると……。
「やれやれ……一体、どちらがはしたないのかな……」
「ああ? なんだおまえ……?」
静観を決めていたカイル王子殿下が口を開いていた。その鋭い視線は真っすぐにハンニバル達に向かっているみたい。
「ハンニバル……それから、エリー、だったっけ?」
私を追放した張本人のハンニバルと、その恋人のエリーが現れた。私は思わず身構えそうになっている。
「俺達のパーティを追放されてどうしてるかと思いきや……こんなところで働いてるのか? 外は墓地まであるじゃねぇかよ」
「あははは、負け犬ちゃんにはお似合いの場所なんじゃない?」
「ま、それもそうかもな。ふははははははっ!」
出会って早々に、私をネタに大笑いをし出す二人。……エリーのことは良く知らないけれど、ハンニバルってここまで性格悪かったかしら? 追放しただけでなく、私が新しく始めた薬屋にまで押しかけて来るなんて……。まあ、エリーも相当に性格は悪そうだから、ある意味お似合いのカップルと言えるのかもしれないけれど。
「……」
カイル王子殿下やその護衛の人達は帰るでもなく、そのまま静観していた。私のせいじゃないっていうのは伝わっていると思うけど、ハンニバルたちとの会話は思いっきり聞かれているわけだし……カイル様に聞かれているって思うと、恥ずかしくて穴があったら飛び込みたいくらいだわ……。
「ちょっと、あなたたち! いきなり入って来てエメラダを侮辱するなんて、許されることではありませんのよ!?」
アミルが我慢の限界に来たのか、お嬢様っぽい話し方でハンニバルたちに言った。……平民だけど。
アミルの言葉を聞いた二人の表情は怒りのそれへと変わっていった。
「あん? 誰だよお前は……ただの客ってわけでもなさそうだし」
「ホントね~~。あれ? なんか見たことあるわよ、ハンニバル」
「この女か? 話し方からして、どっかの金持ちのお嬢様ってところか?」
ハンニバルの予想にエリーは腹を抱えて笑い出した。なんだか、次に出て来る言葉が不穏だわ……。私は咄嗟に止めようとしたけれど遅かった。
「この女……確か、アミルよね? そっち系のお店で見たことあるわ。下着丸出しでポールダンスとか踊ってるのよ、確か」
「!!」
やっぱり、そういう話に移行したか……アミルはエリーに言われてワナワナと身体を震わせている。お前には言われたくないってところでしょうね。偶然とはいえ、王子殿下にも聞かれたわけだし。
「本当かよ?」
「ええ、間違いないわ」
「はしたない女だな……下半身はガバガバですかぁ~?」
「あんたら、いい加減にしなさいよ……!」
いまにも泣き出しそうなアミル。私は流石に我慢の限界を大きく越えてしまった。どうしてやろうかしら……とりあえず、エリーの顔面でも殴ることにする? なんてことを考えていると……。
「やれやれ……一体、どちらがはしたないのかな……」
「ああ? なんだおまえ……?」
静観を決めていたカイル王子殿下が口を開いていた。その鋭い視線は真っすぐにハンニバル達に向かっているみたい。
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