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22話 舌戦 その2
しおりを挟むマグレフ公爵とはその後しばらく、他愛もない話をしていた。いきなり核心に迫るような会話というのもおかしいしね。
「ははは、なかなか面白いですな。セシル王太子殿下」
「ええ、マグレフ公爵。今度、是非見に来ていただきたい」
「はい、もちろんでございますよ」
セシル様とマグレフ公爵は楽し気に会話をしているけれど、リードフ様はどこか落ち着かない様子だ。同時に、スタイン様も落ち着きがない。まあ、理由はなんとなく分かるけれど……。
セシル様もどのように話を切り出そうか、迷っている感じかしら。
「それにしても……リードフ殿。先ほどから口数が少ないようだが、どうかしたのか?」
「ぬっ……セシル王太子殿下? それはどういう意味ですかな?」
「いや、そのままの意味だよ。気分でも悪いのかと思ってな」
「なに? そうなのですか? ハルベルト公爵」
わざとらしいタイミングで、セシル様からの質問が入った。リードフ様は予期していなかったのか、あたふたとしている様子だ。
「いえ、気分が優れないということではありませんよ。ご心配には及びません」
「そうか……マーシオ嬢の姿がないようだが、それからカルカロフ殿も。こんなに重要な舞踏会なのに、呼んでいないのか?」
「あっ……それは……!」
セシル様は少しずつカードをきっていくタイプね。ジリジリと追い込んでいくことを考えていらっしゃるようだ。
リードフ様はさらに焦った表情になっている。
「まあ、色々と事情がありまして。セシル王太子殿下がご心配することではありませんよ」
「本当にそうなのか? 無理な婚約に愛想を尽かされたのだと勘違いしてしまったがな」
「セシル王太子殿下……! そのようなことは……!」
マグレフ公爵の前で、セシル様は強気な発言を開始した……。他国に自国の統治が揺らいでいることを知らしめることになるかもだけど。リードフ様を追い込むことは、それ以上に重要なことだから。
それに、マグレフ公爵に王家の強さをアピールする場面でもあるしね。
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