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20話 マグレフ公国を呼び出す舞踏会 その3
しおりを挟むリードフ・ハルベルト公爵視点……。
「セルゲイ・マグレフ公爵殿、本日は我が舞踏会にご参加いただき、誠にありがとうございます。マグレフ公国の最高権力者である貴方様が、一貴族でしかないハルベルト家の催し物にご参加いただけるなど、身に余る光栄でございます」
「何をおっしゃいますか、ハルベルト公爵。ハルベルト公爵を一貴族と考える輩など、貴族社会には存在しますまい。王国内の北方領域を管轄されているのでしょう? 素晴らしいことではありませんか」
「一国のトップのお方にそう言っていただけるのは、非常に自身に繋がります。ありがとうございます」
私は舞踏会に訪れたマグレフ公国のトップであるセルゲイ様と挨拶を交わしていた。お互いに表層的な褒め言葉を並べた挨拶にはなっているが、決して無駄ではないはずだ。セルゲイ様を招待出来たことは非常に大きなイベントと言えるだろう。
彼ほどの人物は本来であれば、中央の王家……つまりはジルカド国王陛下が主催する催し物に出席するのが普通だろう。しかし今回は、私の個人的な舞踏会に招待出来ているのだ。これはマグレフ公国との関係を強化する上でとても重要なことである。
特に私との個人的な関係性を強めることが重要だからな。
「ち、父上……本当に大丈夫なのでしょうか?」
「何を恐れているのだ、スタイン?」
次期当主であるスタインは、私の隣で脅えているようだった。まったく……スタインは自分の立場が分かっていないようだな。セルゲイ様の前で情けない顔を見せるでないわ! やはり、連れて来たのは間違いだったか。
「父上……王家に対する牽制にも見えてしまうのですが……」
「牽制? 貴族や王族社会とはいつでも牽制の上に成り立っているであろう? 王家が力をつけ過ぎないように、貴族間で牽制を行う王国もあるくらいだからな。私達は横の繋がりを強化し、ジルカド国王陛下に力が集中し過ぎないようにすれば良いのだよ」
「それは一理あるかもしれませんが……」
まあいざとなれば、フォルブース家に罪を被ってもらう算段は出来ている。その為のスタインとの結婚でもあるのだからな。
「ハルベルト公爵、少し込み入ったお話ですかな? 私は向こうへ行っていましょうか?」
「いえ……大丈夫ですよ、マグレフ公爵。大したことでは……!」
「……? どうかなさいましたかな?」
スタインのことは些細な問題だった。わざわざ、セルゲイ様を遠ざける必要はないくらいに……。しかし、次に私の視界に入って来たものは……。
セシル王太子殿下とネフィラ嬢の二人が舞踏会会場に来ていたことだ……どういうことだ?
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