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17話 ジルカド国王陛下の考え

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 ジルカド国王陛下視点……。


「セシル、聞きたいことがあるのだが」

「はい、なんでしょうか? 父上」

「私のやったことは間違いだと思っているか? 次期国王が内定している、お前の意見を聞きたい」


 私は議会からの意見などもあったとはいえ、スタインとマーシオの婚約を承諾してしまった。カルカロフとマーシオの二人が王家側に付くことは、大体予想できたことではあったが、それでも、表向きは南北の大地を牛耳る勢力が一緒になったのだ。

 国王という身分として、この婚約を受け入れて良かったのかどうか……私は確信が持てず、日々、考えていた。


「父上だけの決定で、両名の婚約が決まったわけではないでしょう?」

「それはそうだが……ただ、私の決定というのは、国全体から見てもとても大きな意思になるだろう?」

「それは確かにそうかもしれませんね」


 先日、カルカロフとマーシオが味方になることを、セシルとネフィラには伝えたばかりだ。ネフィラの親にも既に伝えている。ハルベルト家を孤立させ、王家に仇名す可能性のある家系を炙り出すのが狙いではあるが……少々、強引なやり方だったかもしれない。


「父上はやはり、強引な戦法だったと後悔しているのですか?」

「後悔をしているというわけではない。だが、リードフは各貴族との関係性も深い人物だ。どこまでのラインで制圧するのが良いか……迷う時がある」

「失礼ながら父上。今回の婚約は議会を味方につけた上での強硬策に近いです。これ以上、ハルベルト公爵家が勢力をつける前に、叩き潰すくらいのことを考えても宜しいのでは? このままでは独立宣言をされるかもしれませんよ?」

「お前もやはりそう思うか」

「はい、出来れば考えたくないことではありますが。もしかすると、いつでも独立を行えるように準備を進めているのかもしれません」


 北方地方のほぼ全土がハルベルト家の領地になっている。国境線も管理しているとなると……やはり、警戒しておくべきか。フォルブース家は味方に付けることが出来たが、これだけで満足はしていられないな。セシルが国王になった時に、安心して政治が行えるように、私の代で反乱分子は排除しておく必要がある。


「失礼致します、国王陛下。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

「マグア大臣か……どうかしたのか?」


 私の部屋を訪れたのは大臣の一人であるマグア・フラッド大臣だった。


「はい、先ほど入って来た情報なのですが……どうやら、リードフ・ハルベルト公爵が舞踏会を実施するようです」

「それがどうかしたのか……?」

「その舞踏会に北方諸国の一角である、マグレフ公国の方をお招きするという情報が入りまして……」

「なんだと……?」


 マグレフ公国と言えば、公爵が最高権力者になっている国だ。リードフの狙いはまさか……。
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