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16話 リードフの考え
しおりを挟むリードフ・ハルベルト公爵視点……。
「ふふふ、ここまで上手くいくとは……私の手腕もかなりのものだな」
「父上……本当に大丈夫なのでしょうか?」
「何を怖がっているのだ、スタイン?」
まったく……息子はフォルブース家のマーシオ嬢との婚約が決まったと言うのに、脅えているようだ。今後、スタインがハルベルト家を支えなければならないというのに……情けない。
「私に賛同している貴族達を懐柔出来た結果だ。いくら、ジルカド国王陛下といえども、議会の話を蔑ろには出来ないからな」
「は、はい……」
「私は議会を味方に付けることに成功したのだ。凄いだろう?」
「た、確かに……父上にしか出来ない芸当かと思われます……」
その通り、私にしか出来ない芸当だ。今までは、王国内の北の大地を統括するトップクラスの貴族の1つという立ち位置だったが、現在は紛れもないトップの貴族と言っても間違いではないだろうな。ふはははははは。
「スタインとマーシオ嬢が一緒になることで、我がハルベルト家はより強固な勢力になるのだ。その気になれば、独立も可能な程の勢力にな」
「ち、父上……? 独立を考えているのですか……?」
スタインは随分と脅えた声になっている……まったく、本当にいつまでこんな情けない顔をしているつもりなのか。
「単なる例え話だよ、スタイン。本気で独立を考えているわけではない。しかし今後は、王家も簡単には私達に反論出来なくなったのは事実であろうな」
私は昔から王家の事が嫌いだった。私が生まれるはるか以前には、我がハルベルト家が王家として君臨出来たと言い伝えられている。それがいつの間にかクリンジ家に蹴落とされ、他の貴族にも並ばれる始末だ……本当に情けない先祖と言えるだろう。
だからこそ、私が強いハルベルト家を復活させてやるのだ。少なくとも、貴族の中ではダントツの権力を持つ程度にはな。独立に関しては、スタインとマーシオが結婚し、落ち着いてから考えれば良いだろう。
スタインを公爵にし、私が一線を退いてから動く方が何かと都合も良いからな。
「ふはははは、スタインよ。お前は喜ぶべきなのだぞ? 貴族として頂点に立つ日が目の前に来ているのだからな!」
「父上……」
スタインへの教育はこれから加速させて行けば問題はないだろう。さてさて、さらに万全を期す為に、他の貴族との繋がりや他国の貴族とも仲良くなっておくか。主に北方諸国とな……。
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