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14話 婚約決定
しおりを挟む「父上、一体どういうことなのですか?」
「セシル……まあ、お前の言いたい気持ちはとても良く分かる」
私とセシル王太子殿下は国王陛下の私室に入ることを許可されていた。現在は親衛隊が間に立っているけれど、ジルカド国王陛下と話をしている。私の入室も許可してくれたのだ。
国王陛下への用件としては当然、ハルベルト家とフォルブース家のスタイン様とマーシオ様の婚約決定に他ならない。
「私は正直、二人の婚約は許可されないと思っておりました」
「私も同感でございます、国王陛下」
「まあ、二人がそう思うのは間違いではない。むしろ、正しい反応と言えるだろう」
「では、なぜそのような判断になったのですか?」
セシル様はジルカド国王陛下に詰め寄っている。私も気持ちとしては詰め寄りたいけれど、流石にそれは出来なかった。ジルカド国王陛下に限って、間違った判断を下されたとは考えにくいのだけれど……。
リードフ様はそこまでの権力を持っているのだろうか……? いくら公爵家とはいえそこまで……。
「両家の婚約の許可を出したのは、議会や大臣との協議の上だ。リードフ・ハルベルト公爵は予想以上に議会への権力……つまり根回しを行っていたということになるな」
「まさか……そんなことが現実に起こるとは……!」
「そうだな、現実に起こってしまったのは、私としても驚きではある」
「父上……」
「国王陛下……」
沈んだような表情になっているジルカド国王陛下。肩を落としながら私達を見ていた。申し訳ないと思っていらっしゃるのかしら?
「父上……これからどうするのですか? スタイン殿とマーシオ殿が婚約をした場合、南北の広大な土地を保有する大貴族の誕生になりますよ? 本来であれば、喜ばしい面もあるのでしょうが……」
ハルベルト家の当主はあのリードフ様だから……不穏な空気しか感じ取れなかった。
「確かにな、貴族同士の結び付きが強くなりすぎるのは、場合によっては困る面が多い。特に今回のように、当主が野心家の場合などはな。しかし、表立って拒否するのも難しい状況だったわけだ」
「父上……それでは、リードフ殿達は今度、王家に牙をむく可能性があるのでは? それをみすみす許したのですか?」
「結論を早めるな、セシルよ。ちゃんと対策は練っている」
「対策……?」
「よし、入って来てくれ」
「えっ……?」
ジルカド国王陛下の合図と共に、奥にある部屋の扉が開かれた。私達の居る部屋に現れた人物は……。
「マーシオ様……? それにカルカロフ様まで……」
フォルブース家の二人が姿を現したのだった。これには私も非常に驚いてしまった。彼らがジルカド国王陛下の対策、ということね……。
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