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7話 王家の助け その1
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あれから少しの時間が経過した。お父様が王家の方々にコンタクトを取ってくれて……昔の繋がりから助けてはもらえないかという話をしたらしい。
それから数日、ついに王家であるアンバートル王家からの回答が帰って来た。使者の方がマリーチ家に来たのだけれど、その回答は予想だにしないものだったのだ。
「えっ、向こうから来てくださるのですか……!?」
「使者の方が言うにはそのようだ。証拠としてアンバートル王家の印が入った手紙も残されて行った。手紙の内容も王家の方々が出向くというものだったよ」
「さ、左様でございますか……」
意外過ぎる返事に私もファラウも目を丸くしてしまった。ちなみにファラウはあれから私達の屋敷に泊まってもらっている。彼からしても、王家の対応が気になると言うことで、なるべく早く知りたいので泊まらせてくれと言って来たのだ。
「なるほど、流石に過去を遡れば王家に辿り着くという話は伊達ではありませんね」
「そうよね、ファラウ……私としても驚きだわ」
アンバートル王家は通常、貴族間の問題に関わることはしない。アンバートル王国自体が自立した国家を掲げる為の方策なのだ。それに関連して、公爵家が関わることもあまりないのだけれど……。
事実、伯爵家クラスが王家に会うことは比較的難しかったりする。でも、今回は驚くほど順調に事が進んでいた。
「私としても驚きだよ……まさか、あのアンバートル家がこれほどスムーズに動いてくれるとは……」
依頼をした本人であるお父様もかなり驚いているようだった。でも、これは嬉しい誤算だ。私達はあとは王家の方々が来てくれるまで待てば良いのだから。
私はこの期間、ドール様の屋敷で泊まることはしなかった。何度か行き来はしたけれど、実家の方で仕事ができたからと嘘を吐いている。ウィルガさんがドール様と話してくれて、なんとか了承を得た形だ。
ウィルガさんは最初は味方になれないと言っていたけれど、今では完全に味方の行動をしてくれている。まあ、ドール様にバレない程度の協力ではあるけれど。
「ウィルガさん、ファラウ……そして、お父様。本当に感謝しかできませんわ」
「何を言っている、エレナよ。これもお前の人徳というやつだ。感謝の言葉を忘れてはならないが、自信を持つことも必要だぞ?」
「はい……お父様。ありがとうございます」
「私としては、幼馴染の君に礼を言われる方がくすぐったいよ」
「まあ、ファラウったら……!」
「ははははは」
私とファラウは同時に笑い合った。彼も全く気にしている様子はない。これ以上のお礼は、逆に負担になってしまうだろう。私はそこで止めることにした。
そして、それから時間が過ぎて、王家の方々が屋敷を訪れる時間になった。
それから数日、ついに王家であるアンバートル王家からの回答が帰って来た。使者の方がマリーチ家に来たのだけれど、その回答は予想だにしないものだったのだ。
「えっ、向こうから来てくださるのですか……!?」
「使者の方が言うにはそのようだ。証拠としてアンバートル王家の印が入った手紙も残されて行った。手紙の内容も王家の方々が出向くというものだったよ」
「さ、左様でございますか……」
意外過ぎる返事に私もファラウも目を丸くしてしまった。ちなみにファラウはあれから私達の屋敷に泊まってもらっている。彼からしても、王家の対応が気になると言うことで、なるべく早く知りたいので泊まらせてくれと言って来たのだ。
「なるほど、流石に過去を遡れば王家に辿り着くという話は伊達ではありませんね」
「そうよね、ファラウ……私としても驚きだわ」
アンバートル王家は通常、貴族間の問題に関わることはしない。アンバートル王国自体が自立した国家を掲げる為の方策なのだ。それに関連して、公爵家が関わることもあまりないのだけれど……。
事実、伯爵家クラスが王家に会うことは比較的難しかったりする。でも、今回は驚くほど順調に事が進んでいた。
「私としても驚きだよ……まさか、あのアンバートル家がこれほどスムーズに動いてくれるとは……」
依頼をした本人であるお父様もかなり驚いているようだった。でも、これは嬉しい誤算だ。私達はあとは王家の方々が来てくれるまで待てば良いのだから。
私はこの期間、ドール様の屋敷で泊まることはしなかった。何度か行き来はしたけれど、実家の方で仕事ができたからと嘘を吐いている。ウィルガさんがドール様と話してくれて、なんとか了承を得た形だ。
ウィルガさんは最初は味方になれないと言っていたけれど、今では完全に味方の行動をしてくれている。まあ、ドール様にバレない程度の協力ではあるけれど。
「ウィルガさん、ファラウ……そして、お父様。本当に感謝しかできませんわ」
「何を言っている、エレナよ。これもお前の人徳というやつだ。感謝の言葉を忘れてはならないが、自信を持つことも必要だぞ?」
「はい……お父様。ありがとうございます」
「私としては、幼馴染の君に礼を言われる方がくすぐったいよ」
「まあ、ファラウったら……!」
「ははははは」
私とファラウは同時に笑い合った。彼も全く気にしている様子はない。これ以上のお礼は、逆に負担になってしまうだろう。私はそこで止めることにした。
そして、それから時間が過ぎて、王家の方々が屋敷を訪れる時間になった。
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