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3話 幼馴染 その2

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 幼馴染のファラウ・トーチカ伯爵令息。私の前に立っている人物はまさに彼だった。


「ええと、ファラウよね……?」

「そうだよ、久しぶりだな。エレナ! 元気にしていたか?」


「ええ、まあ……そうね、元気にしていたわ」

「そうかそうか。エレナが婚約してからは会えていなかったから、心配していたんだ」


 まさかこのタイミングで会うなんて思わなかったけれど、彼とは子供の頃からの付き合いだった。

「ドール・ジストン侯爵は一緒じゃないのか?」

「え、ええ……今日は一緒ではないわ」


 痛いところを突かれてしまった。ドール様の件は話したくないけれど……ウィルガさんは逆に笑顔になっているけれど。

「失礼ながら申し上げます、エレナ様」

「は、はい……なんでしょうか?」

「ドール様の件を話されては如何ですか?」

「えっ、ドール様の件を……?」


 ウィルガさんの言葉は意外だった。彼はドールさんのことに関して味方にはなれないと言っていたけれど。これは暗黙の言葉なのかもしれない。


「どうしたんだ、エレナ。何か問題でも起こっているのか?」

「ええと……なんて言えばいいのか」

「良かったら話してくれないか? 力になれるかもしれないぞ」

「ファラウ……ありがとう」


 幼馴染のファラウに出会えたのはある意味で幸運なのかもしれない。彼に話すことで私の気が晴れるかも……私はファラウを木々の生い茂る場所に連れて行った。



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「ファラウ……ええと、実は……」

「う、うん。どうしたんだ?」


 他の貴族達に気付かれないような場所に連れて行って彼と話をすることにした。ウィルガさんやファラウの護衛も付いて来てくれている。


「想像はついているかもしれないけれど、ドール様とはあまり上手く行っていないわ……」

「えっ、ジストン侯爵と仲違いでもしているのか?」

「いえ、仲違いというわけではないのだけれど……」


 ある意味仲違いと言えるのかもしれない。ドール様は束縛が酷過ぎるし……。私は周囲に気を遣いながら、自分の身に起きたことをファラウに話すことにした。



「な、なんと……そんなことが……!? 嘘だろう……?」

「いえ、残念ながら嘘ではないわ」


 真実を話した私だけれど、やっぱりファラウは驚愕していた。

「し、信じられないな……! あのドール様が……」


 ドール・ジストン侯爵は伯爵令息であるファラウが驚愕する相手なのだ。それだけ有名だということで……。


「しかし、浮気をしているだけではなく、エレナとの婚約解消にも応じないなんて……」


「信じられないとは思うわ。あのジストン侯爵家だから余計にね」

「そうだね……」


 ドール様の案件は誰に話しても驚かれると思う。最初にファラウに話せたのは良かったのかもしれないわね。
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