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7話 予想の斜め上の事態 その1
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「ええと……ハウル兄さま? どういうことなのでしょうか……?」
私は部屋を訪れたハウル兄さまから、その用件を聞いたけれど、最初は意味が分からなかった。いえ、意味自体は分かったのだけれど、内容が信じられないというか……。
「まあ、聞き返す意味は分からなくはない……ロビン殿も同じお気持ちではありませんか?」
「そ、そうですね……私は隣国の者ですので、そのお二人のことはそこまで詳しくはありませんが……信じられないという思いは、ファリス王女殿下と同じかも思います」
ハウル兄さまの前だから、ロビンは敬語で話している。まあ、そこは突っ込むところではないのだけれど。とにかく、ロビン・マッカート王子殿下も驚く程にハウル兄さまの話した内容は、衝撃的だったのだ。
スタークと西方の国であるフォビトン王国の公爵令嬢アイシャとの間でマズイことが起きている……それは、ハウル兄さまが部屋に入って来た直後に聞かされたけれど、そこからさらに発展するとは思わなかった。
いえ、そもそも「マズイこと」の意味が予想の斜め上というか……。
「ハウル兄さま……スタークとアイシャ嬢が婚約破棄になりかけているというのは、本当なのでしょうか?」
「そうだな……まだ、確定というわけではないが、本当のことだ」
ハウルに兄さまのその言葉……二人の婚約破棄、というだけでも驚きのことだけれど……。
スタークは確かに言っていた。私と婚約解消をする時に、幼馴染のアイシャと結婚を考えているからだと。さらに、隣国のフォビトン王国の公爵令嬢との婚約なので、自国にとっても大きな利益になると。彼は王女である私を捨てる理由として、確かにそう言っていた。
友好国ではないフォビトン王国との関係性の強化は確かに大きなメリットがある。私との婚約よりも、メリットがあるくらいだろう。
単純にその二人が別れると聞かされても驚きではあるけれど、それくらいなら、呆れる程度で済んだだろう。
でも……訪ねて来たハウル兄さまの話には続きがある。
「ええと、ハウル兄さま……アイシャ嬢が、何か良からぬことを考えているというのは本当なのですか?」
「そうだな……」
私とロビンの驚きはその部分にあった……スタークじゃなくて、アイシャ嬢の方が良からぬことを考えている。それって本当に「マズイ」ことなんじゃないだろうか……?
私の頭の中にはそんな言葉が何度も反復されていた。
私は部屋を訪れたハウル兄さまから、その用件を聞いたけれど、最初は意味が分からなかった。いえ、意味自体は分かったのだけれど、内容が信じられないというか……。
「まあ、聞き返す意味は分からなくはない……ロビン殿も同じお気持ちではありませんか?」
「そ、そうですね……私は隣国の者ですので、そのお二人のことはそこまで詳しくはありませんが……信じられないという思いは、ファリス王女殿下と同じかも思います」
ハウル兄さまの前だから、ロビンは敬語で話している。まあ、そこは突っ込むところではないのだけれど。とにかく、ロビン・マッカート王子殿下も驚く程にハウル兄さまの話した内容は、衝撃的だったのだ。
スタークと西方の国であるフォビトン王国の公爵令嬢アイシャとの間でマズイことが起きている……それは、ハウル兄さまが部屋に入って来た直後に聞かされたけれど、そこからさらに発展するとは思わなかった。
いえ、そもそも「マズイこと」の意味が予想の斜め上というか……。
「ハウル兄さま……スタークとアイシャ嬢が婚約破棄になりかけているというのは、本当なのでしょうか?」
「そうだな……まだ、確定というわけではないが、本当のことだ」
ハウルに兄さまのその言葉……二人の婚約破棄、というだけでも驚きのことだけれど……。
スタークは確かに言っていた。私と婚約解消をする時に、幼馴染のアイシャと結婚を考えているからだと。さらに、隣国のフォビトン王国の公爵令嬢との婚約なので、自国にとっても大きな利益になると。彼は王女である私を捨てる理由として、確かにそう言っていた。
友好国ではないフォビトン王国との関係性の強化は確かに大きなメリットがある。私との婚約よりも、メリットがあるくらいだろう。
単純にその二人が別れると聞かされても驚きではあるけれど、それくらいなら、呆れる程度で済んだだろう。
でも……訪ねて来たハウル兄さまの話には続きがある。
「ええと、ハウル兄さま……アイシャ嬢が、何か良からぬことを考えているというのは本当なのですか?」
「そうだな……」
私とロビンの驚きはその部分にあった……スタークじゃなくて、アイシャ嬢の方が良からぬことを考えている。それって本当に「マズイ」ことなんじゃないだろうか……?
私の頭の中にはそんな言葉が何度も反復されていた。
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