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1話 王女殿下の婚約解消
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「えっ……? 婚約解消?」
突然、そんな話が飛び出した……私の婚約者である、スターク・チャンドラー公爵令息かが言った言葉だ。
私は彼の妻になる予定のファリス・カリストロ。一応、今はまだ王女という立場になっている。結婚をすれば将来はチャンドラー公爵夫妻になるはずなんだけれど。
「済まない……ファリス。王女殿下である君にこんなことを言いたくはいんだけれど、どうしても別れて欲しいんだ!」
「ど、どうして……? そんなこといきなり言われても……」
チャンドラー公爵家はカリストロ王国の西方地域を管理している大貴族の1つだ。王家との繋がりを強化し、王国全体をより活性化させる狙いで、私とスタークは婚約することになったんだけれど。そんな婚約を反故にするなんてあり得ない……。
「スターク……王家出身である私との婚約を解消するなんて、いくらあなたでも簡単には出来ないわよ?」
「それは分かってるさ」
「それに……私の気持ちは考慮してくれないの?」
スタークと一緒に過ごしてから3か月程度……二人で幾つもの舞踏会にだって出席した。色々な思い出だってある……それなりに上手く生活出来ていたと思っていたのに。私に何か間違いがあったのだろうか?
「理由を聞かせて貰えないかしら?」
「理由は……隣国のフォビトン王国の貴族と婚約するからだよ」
「フォビトン王国の貴族と……?」
「ああ、アイシャ・シルバークという公爵令嬢さ。私の大切な幼馴染でもあるんだ」
「幼馴染……」
昔からの知り合いということか……私にも幼馴染と呼べる人は確かに存在する。私は一瞬、思考が止まってしまっていた。
「私はアイシャと一緒になりたいんだ……こればかりは、譲ることが出来ない。それほどに私は真剣なんだよ」
「で、でも……私とあなたは婚約をしていて、3か月間過ごして来たでしょう? その思い出は……」
「その思い出が大切じゃないとは言わない。でも……優先順位ではアイシャと一緒になることよりも下なんだ。分かって欲しい……ファリス。私は君と一緒になることが出来ない……」
「そんな……」
私は何を言ったら良いのか分からなくなってしまった……予想外の婚約解消という事実。スタークがそんなことを望むなんて考えてもいなかったから、それだけでもショックが大きい。しかも、その理由がアイシャという隣国の幼馴染と一緒になりたいからというのが、余計にショックだ。
彼との婚約生活は一体なんだったのだろうか……優先順位で下とここまでハッキリ言われてしまうとは。気を抜けば泣いてしまいそうだった。
「グスタフ国王陛下には後程、説明しようかと思っている」
「認められると思っているの?」
「彼女……アイシャとの婚約は、カリストロ王国にとっても利益になるはずだ。彼女の家系も大貴族だからね」
「スターク……もう、私が何を言っても無理なようね……」
「本当に済まない、ファリス。私と別れてくれ」
「……分かったわ」
もうスタークは一切聞く耳を持っていない。そう判断した私は婚約解消を承諾するしかなかった。こうして、王女という肩書きを持つ私は、婚約を解消する羽目になってしまったのだ。
突然、そんな話が飛び出した……私の婚約者である、スターク・チャンドラー公爵令息かが言った言葉だ。
私は彼の妻になる予定のファリス・カリストロ。一応、今はまだ王女という立場になっている。結婚をすれば将来はチャンドラー公爵夫妻になるはずなんだけれど。
「済まない……ファリス。王女殿下である君にこんなことを言いたくはいんだけれど、どうしても別れて欲しいんだ!」
「ど、どうして……? そんなこといきなり言われても……」
チャンドラー公爵家はカリストロ王国の西方地域を管理している大貴族の1つだ。王家との繋がりを強化し、王国全体をより活性化させる狙いで、私とスタークは婚約することになったんだけれど。そんな婚約を反故にするなんてあり得ない……。
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「それは分かってるさ」
「それに……私の気持ちは考慮してくれないの?」
スタークと一緒に過ごしてから3か月程度……二人で幾つもの舞踏会にだって出席した。色々な思い出だってある……それなりに上手く生活出来ていたと思っていたのに。私に何か間違いがあったのだろうか?
「理由を聞かせて貰えないかしら?」
「理由は……隣国のフォビトン王国の貴族と婚約するからだよ」
「フォビトン王国の貴族と……?」
「ああ、アイシャ・シルバークという公爵令嬢さ。私の大切な幼馴染でもあるんだ」
「幼馴染……」
昔からの知り合いということか……私にも幼馴染と呼べる人は確かに存在する。私は一瞬、思考が止まってしまっていた。
「私はアイシャと一緒になりたいんだ……こればかりは、譲ることが出来ない。それほどに私は真剣なんだよ」
「で、でも……私とあなたは婚約をしていて、3か月間過ごして来たでしょう? その思い出は……」
「その思い出が大切じゃないとは言わない。でも……優先順位ではアイシャと一緒になることよりも下なんだ。分かって欲しい……ファリス。私は君と一緒になることが出来ない……」
「そんな……」
私は何を言ったら良いのか分からなくなってしまった……予想外の婚約解消という事実。スタークがそんなことを望むなんて考えてもいなかったから、それだけでもショックが大きい。しかも、その理由がアイシャという隣国の幼馴染と一緒になりたいからというのが、余計にショックだ。
彼との婚約生活は一体なんだったのだろうか……優先順位で下とここまでハッキリ言われてしまうとは。気を抜けば泣いてしまいそうだった。
「グスタフ国王陛下には後程、説明しようかと思っている」
「認められると思っているの?」
「彼女……アイシャとの婚約は、カリストロ王国にとっても利益になるはずだ。彼女の家系も大貴族だからね」
「スターク……もう、私が何を言っても無理なようね……」
「本当に済まない、ファリス。私と別れてくれ」
「……分かったわ」
もうスタークは一切聞く耳を持っていない。そう判断した私は婚約解消を承諾するしかなかった。こうして、王女という肩書きを持つ私は、婚約を解消する羽目になってしまったのだ。
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