私を婚約破棄に追い込みましたけど、横の繋がりを知らないのですか?~私の妹が皇帝陛下の側室だった件~

マルローネ

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28話 平穏な生活 ①

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 あれから、しばらくの月日が経過した。私は……ええと、ハロルドと穏やかな生活を送れている。時々、ソシエが割って入って来て、ニヤニヤしながら茶化してくるけれど。


「なんだか、変な感じね……」

「そうだね、なかなか穏やかな1日だ」

「うん、それもあるんだけど。ハロルドと正式に婚約したのが、なんだか信じられないというか……」

「ああ、そっちか」


「うん……」


 私とハロルドは、一世一代の大告白の末に結ばれることになった。婚約についても、問題なく決まって……ええと、まだ初夜は迎えていないんだけど、それも時間の問題というか……。


 私は私室でハロルドにもたれかかりながら、平穏な日中を送っている。はあ、なんだか凄い幸せだわ。


「ダンテ様への追加の罰を進言した後とは、とても思えないわね……」

「そうだね……あの時は、もっと殺伐としていたから」


 少し前にダンテ様の罰の追加を議会に提言したのは、私やハロルドになる。ライドウ皇帝陛下も居たから、議会ももちろん、無下にするなんてことはなく……。


 それから数日が経過した時、ダンテ様の罪はより重くなっていた──。



『なぜだ……! なぜ、そこまでして、お前は私の不幸を望むんだ!? お前のせいで、私は島流しどころか、向こう10年の懲役まで科されるんだぞ!? 爵位も事実上の剥奪だ……うわあああああああ……!』


 と、ダンテ様はまた泣きはらしていた。ダンテ様っていう呼称もおかしい気がするけど……だってもう侯爵令息ではないんだし。


 ダンテは事実上の罪人となり、島流し10年の刑に処されたのと同等になった。まあ、戻って来られるだけラッキーなんじゃないかしら? 私としても、あんなに恨みを持たれている人が近くに居たんでは、安心して過ごせないし。その辺りの配慮も議会はしてくれたように思う。


「それから……アイミー令嬢の様子も見に行きたいわね」

「そうだね……君が望むなら、僕も一緒に行くよ」


「ありがとう、ハロルド」

「構わないさ、僕はシェルの婚約者なんだから」

「ええ」


 ハロルドはそう言いながら、私を優しく、力強く抱きしめてくれた。妹の怪しげな視線を感じるけれど、今はとりあえず無視しておくことにするわ。


「しかし、シェル。アイミー令嬢と会って、何を話すんだい?」

「う~ん、特に考えているわけじゃないけど……」


 アイミー令嬢は大けがを負ってしまっている。立場的には私と同じような関係だったから、同情心が出ているのかもしれない。別にアイミー令嬢には何かをされたわけじゃないし、怪我の具合などもみておきたいしね。


 用件については追々考えることにしようっと。
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