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27話 ダンテへの罰 ②
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「新しい婚約者であるアイミー令嬢に、一生ものの傷を負わせて……島流し先での勤務で済むのですか?」
アイミー令嬢に同情するつもりは最初はなかった……でも、彼女の怪我の具合を聞いていると、許せないという思いが強くなってしまう。
「そうですよね……自らの婚約者に一生消えない傷を与えてしまったわけですから……」
正直な話、貴族街で施される回復魔法を行使したとしても、完全に元には戻らないのは異常だ。ただの骨折程度であれば、後遺症は残らないはずだし……陥没をしているってことなんでしょうね……。
「ライドウ皇帝陛下……ダンテは島流しになったとしても、向こうではやりたい放題なのでは?」
「そうだろうな……」
皇帝陛下も分かっているのか、沈んだ表情になっていた。本来であれば罰のはずだけど……ダンテ様の立場であれば、島流しという罰は罰にはならないのかもしれない。侯爵令息だった人物に強気に当たれる人は居ないでしょうし……。
「皇帝陛下……なんとか、ならないのでしょうか? このままでは、アイミー令嬢の無念が浮かばれません……!」
私は最高権力者であるライドウ様に嘆願してみた。まさか、浮気相手でもあるアイミー令嬢への仕打ちに対して、怒りを感じることがあるとは思わなかったわ……でも、さすがに彼女が可哀想だと思ってしまうし。
「ライドウ皇帝陛下……私からも申し上げます。このままでは……アイミー令嬢の無念は晴れないかと思われますが……」
今のダンテ様の罰には、アイミー令嬢への暴力に対する罰は含まれていないはず……流石にそれでは彼女が可哀想だった。ハロルドもそれを分かってるのか、私と同じように、皇帝陛下に進言をしている。
ライドウ皇帝陛下は真剣な表情で考えをまとめているようだった。
「其方たちの嘆願は最もなものだ……議会へ私自ら掛け合ってみよう。どの程度の追加の罰が可能かは私ですら分からないが……それでよければ」
「もちろんでございます、私たちの我儘を聞き届けていただき、感謝いたします!」
ハロルドやソシエの気持ちを代表するように、私は真っ先にライドウ皇帝陛下に頭を下げた。身分的なもので言えば、ハロルドがするべきことだったのかもしれないけれど、まあいいか……。
これで、ダンテ様に追加の罰が下る可能性が出て来た。私たちはただ、それを待てばいいというとこね。
アイミー令嬢に同情するつもりは最初はなかった……でも、彼女の怪我の具合を聞いていると、許せないという思いが強くなってしまう。
「そうですよね……自らの婚約者に一生消えない傷を与えてしまったわけですから……」
正直な話、貴族街で施される回復魔法を行使したとしても、完全に元には戻らないのは異常だ。ただの骨折程度であれば、後遺症は残らないはずだし……陥没をしているってことなんでしょうね……。
「ライドウ皇帝陛下……ダンテは島流しになったとしても、向こうではやりたい放題なのでは?」
「そうだろうな……」
皇帝陛下も分かっているのか、沈んだ表情になっていた。本来であれば罰のはずだけど……ダンテ様の立場であれば、島流しという罰は罰にはならないのかもしれない。侯爵令息だった人物に強気に当たれる人は居ないでしょうし……。
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「ライドウ皇帝陛下……私からも申し上げます。このままでは……アイミー令嬢の無念は晴れないかと思われますが……」
今のダンテ様の罰には、アイミー令嬢への暴力に対する罰は含まれていないはず……流石にそれでは彼女が可哀想だった。ハロルドもそれを分かってるのか、私と同じように、皇帝陛下に進言をしている。
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「其方たちの嘆願は最もなものだ……議会へ私自ら掛け合ってみよう。どの程度の追加の罰が可能かは私ですら分からないが……それでよければ」
「もちろんでございます、私たちの我儘を聞き届けていただき、感謝いたします!」
ハロルドやソシエの気持ちを代表するように、私は真っ先にライドウ皇帝陛下に頭を下げた。身分的なもので言えば、ハロルドがするべきことだったのかもしれないけれど、まあいいか……。
これで、ダンテ様に追加の罰が下る可能性が出て来た。私たちはただ、それを待てばいいというとこね。
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